ゆでたまご氏による大人気漫画『キン肉マン』では、地球の平和を守るために戦う正義超人たちの友情パワーに感動したものだ。ところで初期のキン肉マンといえば、ギャグ漫画一色だったわけだが、超人オリンピック編からプロレスがメインとなっていった。当時は「正義超人」というくくりがまだなかったので、ラーメンマンがブロッケンマンをキャメルクラッチで惨殺したように、なんでもありのファイトも多かったものだ。そこで、のちの正義超人たちが残忍で冷酷だったファイトシーンを見ていこう。
■父の仇! ウォッチマンの顔面破壊から胴体を真っ二つにしたブロッケンJr.
さて、最初に紹介する超人はブロッケンJr.だ。言わずと知れたブロッケンマンの息子である。ラーメンマンに復讐するために超人オリンピックに参戦するのだが、トーナメント初戦はウォッチマンと対決。
ウォッチマンは時計というより、ストップウォッチの骨董品のようにも見える。コイツの必殺技は、相手の首に腕を回して締め付ける“スリーパーホールド”なのだが、昭和男子なら誰もが一度は掛け合ったことがあるのではないだろうか。
しかもウォッチマンは、角度と締め具合、相手のスタミナを計算することで、あとどれくらいでスリーパー(眠る人)となるのかが分かるらしい。さすが“時計”と思ったのだが、よく考えると結構長いような気がするな。案の定、ブロッケンJr.にパンチを喰らって顔面が破壊されてしまう。
そしてトドメが恐ろしい。ブロッケンJr.はラーメンマンに見せつけるかのように、キャメルクラッチでウォッチマンの胴体を真っ二つに引き裂いた。う〜ん、怖すぎる……完全に残虐超人じゃん。
そういえば、父・ブロッケンマンは殺されて可愛そうなイメージがあるが、実はラーメンマンよりも残忍だった。反則しまくってラーメンマンにキレられたのだから、ある意味ブロッケンJr.は逆恨みかもしれないな。
■最強の殺人技でキン肉マンを追い詰めたウォーズマンとバラクーダ
次は、第21回超人オリンピックにソビエト連邦代表で戦争用のロボ超人として登場したウォーズマンだ。
まずは、拳に内蔵されている鉄の爪の“ベアークロー”。いや、これって凶器じゃん。これを突き出しながら高速回転して飛んでくる“スクリュードライバー”なんて、たまったものではない。そして、「コーホー」という声も怖い……。
ティーパックマンやペンタゴン、そしてラーメンマンもあえなくベアークローの餌食となってしまった。そして決勝のキン肉マンとの対決で初披露となった“パロ・スペシャル”。キン肉マンも自力で崩せないほどの完璧なフィニッシュホールドだ。あまりに危険な技なので、筆者たちの学校では禁止令が出たほど。ウォーズマンは試合中に改心したものの、その残虐ファイトは相手を殺すことを前提にしていたな。『ロッキー4/炎の友情』に登場するソ連のボクサー・ドラゴと重なり、小学生ながらに冷戦の怖さを感じたものだった。
そして忘れてはいけないのが、ウォーズマンの師匠のような存在であるトレーナーのバラクーダ。実はロビンマスクがキン肉マンに復讐するために変装していたのだが、彼は本気でキン肉マンを殺そうとしていたのだから恐ろしい。のちに兄貴的存在となるのだが、この時はムチを手にして、『妖怪人間ベム』のベラのようにムチをしならせていたものだ……。