■『ONE PIECE』では壮大な伏線回収も?

 続いては尾田栄一郎氏による『ONE PIECE』から。コミックスに掲載されているおまけコーナー「SBS」([S]質問を[B]募集[S]するのだ、の略)では、25巻で読者から「Mr.3は悪魔の実の能力者なのに、なんで19巻の185ページの3コマ目に、水にプカーって浮いてるんですか?」という質問があった。

「悪魔の実の能力者は総じてカナヅチになる」という設定を崩しかねない鋭い指摘に尾田氏は「アレはなんと偶然にもMr.3の体の下に“ものっすごい浮く木片”があったんですね。それによってMr.3はものっすごい浮いてたわけです」と答えていた。

 読者からするとその場しのぎのごまかしのようにも感じる回答だったが、後の66巻ではフランキーの「浮力の高いこの『クウイゴスの木片』で船体を浮かすんだ」というセリフが登場する。このクウイゴスの木片が“ものっすごい浮く木片”だったということで、壮大なフラグ回収に読者たちは盛り上がった。

 なお尾田氏は「当時はみんなアレだろ? 僕がテキトーにその場しのぎで考えたと思ったんだろ? 違うよー。この設定を既にあの時、か、かか…考えてたんだよ…。ま…まま…まじだよっ!」とコメントしていたので、この作画ミスがきっかけにクウイゴスの木片という存在が生まれたのかもしれない。

 いずれも作者の個性が感じられる謝罪の数々。これらの対応に、どことなく作家たちに親近感を覚える読者も少なくないのではないだろうか。

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