『ジョジョ』『鬼滅の刃』『ONE PIECE』思わずほっこり? ジャンプの人気作家は「痛恨のミス」をどうフォローした?の画像
アニメ『ジョジョの奇妙な冒険』(C)荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険THE ANIMATION PROJECT

 週刊漫画連載という過酷な労働環境の中では、どうしてもヒューマンエラーは避けられないもの。漫画家たちはたびたび作中で矛盾する設定やミスなどを犯してしまうことがある。多忙な彼らのミスをもちろん責めることはできないが、ファンとしてはどうしても気になってしまうもの。しかしそのミスに対してあまりにも見事なフォローを入れられたら、ますますファンになってしまうこともありそうだ。

 今回は『週刊少年ジャンプ』の作家たちにスポットを当て、痛恨のミスに対して行われた華麗なフォローを振り返りたい。

 まずは漫画好きの間では有名な『ジョジョの奇妙な冒険』のエピソードから。第1部「ファントムブラッド」に登場する、ジョナサンに波紋法を教えたウィル・A・ツェペリは、死の間際に「わしは……結婚もしなかったし…家族ももたなかったが…」とジョナサンに告げていた。しかし続く第2部「戦闘潮流」には彼の「孫」であるシーザー・A・ツェペリが登場しているのだ。

 彼の登場によって、ツェペリが死に際に放ったセリフに矛盾が生じてしまうことになったが、これに対して作者の荒木飛呂彦氏はコミックス4巻で「おわびのためのあとがき」と題して釈明。「『ジョジョ』は、壮大な構成と緻密な計算のもとにつくられている作品ですが、長くかきつづけると、そこにヒズミやキズができてくるということでしょうか…。“おとなはウソつきだ”と思った少年少女のみなさん、どうもすみませんでした。おとはなウソつきではないのです。まちがいをするだけなのです……」と説明した。

 大人の読者のほとんどは「ウソ」とは感じないであろうセリフのミスだが、少年少女読者に向かってきちんと謝罪する姿勢があまりに潔い。「おとはなウソつきではない。まちがいをするだけ」という名言をマネしたくなったという人も多いだろう。なお、コミックスではツェペリのセリフも「わしは…若い頃結婚していた しかし石仮面のために家族をすてた」に修正されている。

■緊迫展開の中での“ワニ先生”のコメント

 4月9日から待望のアニメ新作エピソード「刀鍛冶の里編」がスタートする吾峠呼世晴氏の『鬼滅の刃』にもミスはあった。第204話の『週刊少年ジャンプ』掲載時、鬼舞辻無惨との戦いで左手が使えなくなったはずの炭治郎が、最後のページで“両手”を使ってご飯を食べているコマがある。この回の本誌の目次ページで吾峠氏は「作者渾身の作画ミスにつきご容赦!」とコメントをし、該当ページはコミックスでは修正されていた。

 吾峠氏の潔い謝罪はまだまだある。第13巻のおまけページでは、7巻に記載された蝶屋敷の3人の少女の名前が間違っていたことを謝罪。吾峠氏の自画像のワニが「スミマセン 名前をまちがえました にらまれています」と謝罪する様子と、ほほを膨らませて起こる3人娘の様子が描かれた。

 またその直後の回では、「刀鍛冶の里編」で上弦の鬼が里を襲撃するという大ピンチのタイミングで同作のアニメ化が決定したため、見開きページで炭治郎が紙吹雪をまきながらおなじみのメンバーとともにお祝いをするというおめでたいイラストが掲載された。

 しかしお祝い文言はコミックスには掲載されていないため、単行本派の読者にとっては「なぜピンチなのにお祝い?」と混乱を招く並びともいえる。これに吾峠氏は「炭治郎たちが鬼の仲間のごとく喜んでいるように見えますが作者の痛恨のミスですので御容赦くださいませ」と謝罪。隣に描かれた炭治郎も「いま上弦来てて大変なんだよ」と困り顔をしているというおちゃめなおまけページだった。

 こちらは作者のミスではないが、読んでいてほっこりしてしまう吾峠氏のコメントだった。

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