■自分の腕を胸に突っ込んで蘇生!?

 エネルは、電気の力で心臓マッサージをして蘇生した。ヒソカは、念能力を応用しての心肺蘇生。ゆでたまごによるプロレス漫画『キン肉マン』のジェロニモはなんと、自分の胸に手を突っ込んで心臓をわしづかみして、自力で蘇生に成功している。

 サンシャインvsジェロニモの一戦は、当時のチビッ子たちの心を燃やした熱い戦いだった。悪魔六騎士の1人であるサンシャインは身長3m体重1トンの巨漢。対するジェロニモは超人に憧れているただの人間。誰の目にも苦戦は明らかだった。

 サンシャインの強烈な攻撃に各部重傷を負いながらも、持ち前の根性で善戦を繰り広げ、ついには「アパッチのおたけび」でサンシャインの体を霧散させていく。だがあと一歩のところで、力及ばず。ジェロニモは力を使い果たして死んでしまい、雄たけびが止んだことでサンシャインの体も少しずつ元に戻っていく。

 そのとき、「こんなとこでへばって、それでも超人か!?」というキン肉マンの叫び声がジェロニモに届き、彼は幼いころに自分を助けてくれた謎の超人を思い出す。あのときその超人が教えてくれた正義と使命、そして今こそ自分が超人になる時だと。

 そして次の瞬間、ジェロニモはなんと、腹部に開いた大穴に自分の手を突っ込んで、心臓マッサージを始めたのだった。しかも手が砂だらけなのにも関わらず。

 これにより「心肺蘇生」に成功したジェロニモは、「アパッチのおたけび」をサンシャインに浴びせ、見事勝利を掴み取るのだった。エネルやヒソカとは違い、ジェロニモの場合は能力や設定ではなく、あくまでも根性による蘇生。だがそれがあまりにも熱く、そして多くの子どもたちを大感動に導いたのは言うまでもない。

 考えてみれば、アキレス腱断裂、腰椎骨折の重傷を負いながら1トンの巨体をゆうに投げ飛ばすわ、胸に大穴が開いた状態でサンシャインの体を砂に帰すほどの雄たけびをあげるわ、これが「超人に憧れているただの人間」だというのだから……人間とは一体。読者の誰もが予想できなかった名エピソードだ。

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