『鬼滅の刃』半天狗はどんな声!?『うる星やつら』『機動戦士ガンダム』ベテラン声優・古川登志夫の魅力を語ってみたの画像
『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 4月9日よりフジテレビ系で放送されるテレビアニメ『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』で、上弦の肆・半天狗の声を古川登志夫が担当することが発表された。古川といえば昭和版『うる星やつら』の諸星あたるをはじめ、『ONEPIECE』のポートガス・D・エースや『ドラゴンボール』のピッコロなど多くの人気キャラを演じ続けるまさに声優界の大御所。

 そんな古川が今年2月初めに自身のツイッターで、今回の半天狗役はマネージャーから「この一役一つに絞りましょう」と勧められオーディションを受けた結果だったことを明かした。これを受け多くのファンから、「古川さんほどのベテランでもオーディションを受けるの?」「制作側からオファーが来るのかと思っていた」など驚きの声が寄せられたのだ。

 そこで、いまだ「古川登志夫さんと言えばミト王子!」と答えてしまう筆者が、同氏の魅力を語ってみたいと思う。

■熱血ヒーローやヒネた少年、「笑い声」への工夫

 古川登志夫は1946年7月16日生まれの現在76歳。1974年にアニメ『ゼロテスター』にて名もなき隊員役を演じ、1976年には『マグネロボ ガ・キーン』の主人公・北条猛役を射止めた。つまり、声優としての経歴はすでに半世紀近くにも及ぶのだ。

 筆者が最初に同氏の声を認識したのは、『機動戦士ガンダム』でのカイ・シデン役だった。そしてそれと同時期に、ロボットアニメ『未来ロボ ダルタニアス』の楯剣人や『最強ロボ ダイオージャ』でエドワード・ミト王子などの主人公役を担当。これら「熱血ヒーロー」以外に『無敵ロボ トライダーG7』のクラス委員長・大山健一役や『戦闘メカ ザブングル』のブルメ役など次々と声優を担当し、カイと同様「シニカルなキャラ」「どこかヒネた少年」がハマり役だった。

 古川キャラといえば『うる星やつら』の諸星あたる、『Theかぼちゃワイン』の青葉春助、『Dr.スランプ アラレちゃん』の空豆タロウなど、いずれも独特な笑い声が特徴。「ニャハハハ」という照れ笑いだったり、「カッカッカ」というカラ笑いだったり、画面を見ずともキャラの絵が浮かんでくるような古川の笑い声だが、これについて古川は1985年に雑誌『アニメージュ』のインタビューで秘訣を明かしている。

 それによると古川は、キャラクター表や原作を読み込むことでデータを仕込み、「こんな表情で笑う、こういう性格のキャラだったら、笑い方はこれ!」と作品ごとにパターンを決めてそれを突き通すのだとか。毎回、同じ笑い方をすることで視聴者に声のイメージを定着させ、よそ見をしていても「あいつが笑っている」と分かる工夫をしているそうで、言われてみれば納得の手法。またこのときのインタビューでは、3枚目のキャラのアフレコ時には「キチンとした姿勢をとらずにクネクネ動き回りながら」声を吹き込んでいることも明かしており、あのフニャっとした声がそのような手法で生まれたのかと驚きだった。

 4月からの『鬼滅』で古川が声を担当する半天狗も、一癖も二癖もある強烈なキャラ。どのような声を吹き込むのか、春からの放送が楽しみでならない。

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