将棋の第72期ALSOK杯王将戦が大熱戦となっている。藤井聡太五冠と羽生善治九段の対決は3月11日・12日に第六局が予定されているが、現状では藤井五冠が3勝目を挙げて王手をかけており、天才同士の熱戦に観ているこちらが手に汗を握ってしまうほどだ。ところでファミコンでの「将棋」といえば、1985年に発売された内藤九段監修のゲームが初作品であり、実はこの年、羽生九段が中学生ながらプロ棋士になっていたりもする。そこで、オジさん世代には懐かしいファミコンテーブルゲームを振り返ってみよう。
■ファミコン初の将棋ソフトは意外にも素晴らしい出来栄えだった『本将棋 内藤九段将棋秘伝』
先述したファミコン初の将棋ゲームとなったのが、『本将棋 内藤九段将棋秘伝』(セタ)だ。このゲームはまだファミコンが発売されて2年しか経過していないにもかかわらず、将棋というジャンルをゲーム化したのだから素晴らしい。
ただ、ファミコン初期ということもあって、対戦はおろかコンピュータの強さも変えられないし、“詰め将棋”がないので最後まで指す必要があった。そのおかげで間違ったマスに指してしまう可能性もあったな。
慣れてくるとコンピュータの思考ルーティンを予想できるようになるので、比較的物足りなくなるのだが、それでも最初はまったく勝てなくてかなり燃えたものだった。15手打ちやBボタンで「待った」をかけるために連打するなどたくさん思い出があったし、実際の将棋のレベルが上がったと思ったものだ。
筆者はコンピュータにわざと駒をたくさん取らせておき、自分が負けそうな局面を作り上げてから逆転劇を演出するのが好きだったな〜。
■ファミコン発売とほぼ同時! 実は長年遊べるコスパソフト『五目ならべ 連珠』
1983年8月と、ファミコンとほぼ同時に発売されたのが『五目ならべ 連珠』(任天堂)だ。対戦可能でコンピュータの強さも選べるという、遊び手の気持ちを考えた任天堂らしいシステムとなっている。
筆者は小学校の授業で五目並べを学んだことがある。兄がいるので存在自体は知ってはいたのだが、当時は普通に授業の一環として受け入れていたな。
ただ、コンピュータの強さといっても打ち方が変わるのではなく、ヒントがなくなり、制限時間が設けられるのが上級との違いだった。闇雲に指すといつのまにかコンピュータに四三を作られていたりしていたな……。
このゲームの怖いところは、Bボタンを押せば対局終了となるところだった。当時は「ええ!」と驚いたものだな。なぜそうなったのか不明だが、どれだけ優勢に攻めても間違ってBボタンを押せば投了扱いとなってしまうのだ。どうしたんだ任天堂! いや、そうか……詰んでしまうと感じた人は、潔く敗北を認めなければならないということだろう。
ちなみに、シンプルなゲームだからなのか、これ以降は五目並べの新作ソフトはファミコンでは発売されていない。それだけにちょっと遊びたいときにゲームするなど、長年遊べるコスパソフトといえたものだ。