■CGも手描きもすごい! オリジナル作品2作に見る製作者の情熱

 生き生きとしたキャラクター描写、躍動感あふれるアクション、美しい背景。これらを可能にしたのは、CG技術の進歩が大きいだろう。とくにCGI部門を持つMAPPAは、3DCGやモーションキャプチャを駆使した映像に強いイメージがある。

 たとえば、オリジナル作品の2018年10月放送『ゾンビランドサガ』および2021年4月放送『ゾンビランドサガ リベンジ』。本作は、ゾンビとして生き返った少女たちが、佐賀のご当地アイドルとして活躍する様子を描いた大人気作だ。

 本作ではモーションキャプチャを駆使した壮大なライブシーンを再現し、国内外で大きな話題を呼んだ。さらに2期では歌う際の表情まで細かく描かれており、1期からさらにブラッシュアップされた表現を楽しむことができる。

 一方で、同じオリジナル作品でも2016年10月放送の『ユーリ!!! onICE』は、CGを使わず手描きにこだわったという。

 フィギュアスケートを題材としている作品なので、もちろん見どころは演技シーンになるわけだが、オープニングから本編に至るまでフィギュア独特の繊細で滑らかな動きが完璧に再現されていた。

 まるで本物の演技を見ているように感じられるが、これらはすべてCG不使用。フィギュアスケート振付師の宮本賢二氏に振付と実演をしてもらい、そのときのスケッチをもとにアニメーションにしたというから驚きだ。面倒くさいこだわりをとことん追求する、製作者の情熱が感じられる。

■まだまだあるMAPPA作品

 すべては挙げきれないが、『うしおととら』(2015年7月~12月、2016年4月~6月。スタジオヴォルンと共作)や『賭ケグルイ』(2017年7月)、『BANANA FISH』(2018年7月)、などなど……振り返ってみると、過去の話題作でMAPPAが制作に携わっているものも多い。

 また、2012年4月放送『坂道のアポロン』は手塚プロダクションと、2013年10月放送『はじめの一歩Rising』(アニメ『はじめの一歩』の3期)はマッドハウスとの共同制作をしている。

 設立者の丸山氏が虫プロから独立してマッドハウスを作り、マッドハウス退職後MAPPAを作ったという変遷を考えると、おじいちゃんと一緒に作品を仕上げた後、今度はお父さんと……という感じになるのだろうか。アニメファンにとっては、思わずグッと来るシチュエーションだ。

 

 今、注目のMAPPAについて紹介した。2023年3月からは『進撃の巨人』The Final Season完結編(前編)がスタートし、4月からは「攻めている」という期待の声が挙がる『地獄楽』、そして7月からは『呪術廻戦』2期が始まる予定だ。

 さらに、新たに大阪にCGI専門のスタジオを立ち上げ、これまで以上に広く才能豊かなクリエイターを集めている。今後もますます進化を遂げるであろうMAPPAから、目が離せない。

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