『巨人の星』幻のクリスマス回に『セーラームーン』トラウマ回も…あまりに有名なのに“実はアニメオリジナルだった展開”の画像
『巨人の星』コンプリートBOX Vol.1 [DVD](ワーナー・ホーム・ビデオ)

 原作のあるアニメには、しばしば原作漫画には登場しないオリジナルの展開が描かれることがある。アニメが連載に追いついてしまったりと理由はさまざまだが、アニメから見ていると初めて原作を読んだときに「えっ、このシーンは原作にはないの!?」と驚いた経験がある人も多いだろう。

 アニメオリジナルの展開のインパクトが大きく知名度が高いほど、原作には存在しなくてガッカリすることもある。今回は「あまりに有名すぎるが実はアニメオリジナルだった展開」のあるアニメを紹介したい。

■『巨人の星』伝説の“クリぼっち”回

 まずは、「熱血」「スポ根」ものの代名詞、原作:梶原一騎氏、作画:川崎のぼる氏による『巨人の星』から。アニメ92話「折り合わぬ契約」ではクリスマスを題材にしたエピソードが放送されているが、この回はアニメオリジナルのもの。

 これはライバルのアームストロング・オズマに「野球ロボット」と言われた主人公の星飛雄馬が、ずっと普通の青春を送ってこなかったことを内省し、クリスマスパーティーを企画するという話。しかし、仲間やライバルたちはそれをよしとしなかった。

 そして迎えたクリスマス当日。そこには待てど暮らせど誰も来ない、豪勢に飾りつけた部屋の中でひとり過ごす飛雄馬の姿が……。トラウマ必至のなんとも悲しい回である。

 だだっ広い部屋に置かれた大きなテーブル、クリスマスツリー、ウエディングケーキ並の大きなケーキを前に、カラフルな帽子まで被ったのに誰もこない飛雄馬の寂しげな表情という絵面のシュールさが大きな知名度を誇るこの回。

 どうしてもギャグのように見えてしまうが、前述のようなパーティー開催までの経緯を知ると、自分にも人間らしい心を持っていることを証明したかった飛雄馬の悲痛な叫びが胸に迫ってくる。

■『ドラゴンボールZ』ではヤムチャがプロ野球選手に

 次は、鳥山明氏原作の『ドラゴンボール』。1989年から1996年まで放送されていた『ドラゴンボールZ』は、アニメが原作に追いついてしまうのを避けるため、アニメオリジナルの展開が多いことで有名だ。

 なかでもインパクトが大きかったアニメオリジナル回は、10話「泣くな悟飯! はじめての戦い」だろう。この回ではヤムチャがアルバイトでプロ野球選手をしている様子が描かれた。野球が得意なヤムチャにはかなりの才能があったようで、3打席連続でホームランを打つシーンも。監督からの信頼も厚そうだった。

 鳥山氏はアニメに関して「ノータッチ」と発言していたこともあるが、この野球回や、サイヤ人とツフル人の歴史、栽培マンの裏設定などは鳥山氏による独自の「アイデアメモ」をもとにして描かれた展開だったようで、アニメ製作陣が無理に作ったものではなかったらしい。

 なお、『ドラゴンボール超』70話「シャンパからの挑戦状! 今度は野球で勝負だ!!」でも、第7宇宙と第6宇宙の闘いとして野球対決をしており、ヤムチャは見事なピッチングも披露していた。大谷翔平ばりの二刀流は、作中随一だろう。

 また、ほかにも『ドラゴンボールZ』125話「免許皆伝? 悟空の新たなる試練」では、悟空とピッコロが教習所に通って免許を取りに行っていたり、『ドラゴンボール超』6話「破壊神を怒らせるな! ドキドキ誕生パーティー」では、ベジータがタコ焼きを焼くというギャグ回のようなストーリーも存在している。

 ファンの間では、もはや“伝説”と化しているこれらのエピソード。原作との違いを楽しめるのも、アニメ『ドラゴンボール』の魅力かもしれない。

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