■『美少女戦士セーラームーン』のトラウマ回…

 最後は、武内直子氏による『美少女戦士セーラームーン』。同作は1992年の2月から『なかよし』(講談社)で掲載がスタート、同年3月からアニメ版の放送が始まったメディアミックス作品だ。

 基本設定は同じだが、原作では主人公・月野うさぎが宿命に立ち向かっていく姿やラブロマンスの要素を中心に描かれていたことに対し、アニメ版では少女たちの友情や絆などがメインで描かれており、漫画とアニメでは内容が異なることでも知られている。

 同作のアニメオリジナル回で有名なのが、「無印」と呼ばれるアニメ一期の45話「セーラー戦士死す! 悲壮なる最終戦」の展開だろう。

 最終決戦前のこの回は、視聴者の少女たちが実際に体調を壊すということも多発した「トラウマ回」として有名。最終決戦の地・北極圏Dポイントに降り立ったセーラー戦士たちが5人組の敵・DDガールズと戦い一人ずつ死んでいくという、とても子ども向けとは思えない衝撃的な展開だった。

 この回がアニメオリジナルになったのは、このころにはすでに続編となる『美少女戦士セーラームーンR』の放送が決定しており、続編に繋ぐために製作陣がインパクトを出そうとした結果だといわれている。

 コミックス新装版では設定についての裏話などが4コマで描かれており、原作者の武内氏によると『セーラームーン』は担当編集者に止められたものの、「人が死ぬ漫画をばんばん描きたかった」とのこと。ある意味、アニメの最終決戦は『セーラームーン』の本当の世界観を描いているといえるのではないだろうか。

 

 あまりに有名なためアニメオリジナルと知って驚く展開は、このほかにもまだまだある。原作とアニメを見比べてみると、作品を何倍も楽しめるかも?

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