■津々浦々の“妖怪”をコレクション!『ヨーカイザー』
1998年は“歩数”と連動した携帯ゲーム機が各メーカーから発売された年となったが、登場したのはなにも有名タイトルとコラボしたアイテムばかりではない。完全オリジナルの要素で勝負を仕掛けたのは、バンダイから発売された『ヨーカイザー』である。
四角い機体にモニター、ボタンのみのシンプルな本作は、そのタイトル通り各地に潜む“妖怪”を集めることが目的となっている。
画面に表示される歩数を歩き切ると“妖怪”に遭遇し、運が良ければゲット……というシステムになっており、プレイヤーは100体以上の妖怪を集め、図鑑のコンプリートを目指す。
ゲーム開始時に住んでいる地域を選ぶことでパートナーや出現する妖怪が変化し、日本全国の妖怪を集め、完全制覇することができればゲームクリアとなる。
ほかの作品と比べるとゲームシステム自体は非常にシンプルで、“歩数”をそのまま“妖怪”と出会うための目標値に使っており、図鑑をコンプリートするためにプレイヤーたちはとにかく、妖怪に遭遇するために歩く必要がある。
本体の色が銀色の「怪機道」と、金色の「幽機道」の2バージョンが存在しており、図鑑をコンプリートするためにはほかのバージョンと通信をする必要があるなど、当時の育成ゲームの流行りを踏襲していた。
のちには「幻機道」、「光機道」という新たなバージョンも発売され、“妖怪”という世界観を取り入れたオリジナリティに愛着を抱いたファンも少なくはなかったようである。
友人と協力し図鑑コンプリートを目指したものの、すんでのところで“電池切れ”を起こしてしまい、データが消えた……なんていうしょっぱい思い出も散見される、当時の古き良き携帯ゲーム機の文化が垣間見える一作だ。
誰しもがスマートフォンを持ち、“歩数”を初め、さまざまなヘルスデータを手軽に計測できる時代になったが、当時は“歩数”をゲームに連動させるという試みは非常に斬新で、人々の注目を集めた。“歩数”をどのようにゲームシステムに落とし込むのか、メーカーごとの特色が見えてくるのも、非常に面白い点だ。