『ドラゴンボール』の“亀仙流”に『H×H』ビスケのスパルタも…ジャンプのバトル漫画の主人公が挑んだ“破天荒な修行”の数々の画像
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 少年漫画に欠かせない要素のひとつである“修行”。しかし登場人物たちが地味に努力を重ねるだけではインパクトに欠けるし、ストーリーに動きも出しにくいため、下手すれば退屈になりかねない。要するに、修行シーンとは作者の腕前や発想力が問われるポイントだともいえるだろう。今回はジャンプ作品に焦点をしぼり、何度読んでも面白い修行シーンをご紹介。絶対に真似できないけど真似したくなってしまう、そんな破天荒な修行の数々をぜひ堪能していただければと思う。

■ほぼ労働!『ドラゴンボール』“亀仙流”の修行

 ジャンプ作品で描かれた修行といえば、鳥山明氏による『ドラゴンボール』の“亀仙流修行”を思い出す方も多いだろう。孫悟空とクリリンが師匠の亀仙人のもとで受けた修行であり、その後の彼らの成長はこのエピソードなしでは語れない。

 その内容は武道の修行といわれてイメージするようなものとはかけ離れており、とんでもない距離を走って牛乳配達をしたり、素手(!)で畑を耕したり、工事現場でアルバイトをしたりと、ほとんど労働である。

 サメのいる湖を泳ぐ、縄で身体を縛られた状態で襲い来るハチをよけるなど、修行っぽい種目もあるにはあるが、戦い方そのものを直接教えてくれることはないのだ。ただしこれらはすべて20キロ(慣れてからは40キロ)の亀の甲羅を背負ってこなさなくてはならないため、身体や体力は間違いなく鍛えられる。

 涼しい顔で無理難題を提示する亀仙人と、それにいちいち驚きつつ一生懸命がんばる二人のやりとりには、なんだかほっこりしてしまう。

 こうした修行内容は、亀仙人の“よく動き よく学び よく遊び よく食べて よく休む”という理念が反映されてこそのものだ。実際に上記の修行の間には、昼食をしっかりととる時間やお昼寝タイムまで入れられている。悟空は「げ~ オラきらいだな~」と嫌がっていたが、お勉強タイムもばっちり。

 立派な武道家、というよりは“人間として生きるための基礎”を教えられているようで、考え方自体は天下一武道会とは無縁の我々でも参考にできそうだ。

■いつ何時も気を抜けない『HUNTER×HUNTER』ビスケのスパルタ教育

 冨樫義博氏による『HUNTER×HUNTER』の“グリードアイランド編”で行われた、ビスケット=クルーガー(ビスケ)によるスパルタ修行もまた印象的である。

 ビスケは一見かわいらしい少女なのだが、真の姿は筋骨隆々なうえに実年齢はなんと57歳。ハンターとして段違いの実力を誇るうえ、指導者としても非常に優れている。

 そんな彼女がゴンとキルアの二人に手始めに課したのが、岩石地帯と“魔法都市マサドラ”間のおよそ70kmの距離を何度も往復するというもの。まずは普通に走り、次はスコップとトロッコで岩山を掘り進めながら行き、今度はモンスターを倒しながら……と、順を追って成長できるようになっているところがすごい。

 困難な道のりを超えてようやく岩石地帯に戻ってきたばかりなのに、「では これからマサドラへ向かう」とビスケに言われたキルアは、「もしかしてボケてんじゃねーだろな このババァ」なんて内心思っていたようだが、ちゃーんと考えられているのである。

 さらにビスケ式の修行では移動中や睡眠時にも気が抜けない仕組みが取り入れられており、どんなときも緊張感を持っていなければならない。しかしその甲斐あってか、最初は文句を言ったり失敗しまくったりしていた二人もめきめきと力をつけ、修行を始める前と後では別人レベルになっていた。

 かわいい見た目に反して超絶厳しいビスケのギャップの激しさもすばらしいし、ちょっと反抗的なキルアと素直なゴン、正反対な二人が切磋琢磨していく姿も見どころのひとつである。3人の軽妙な掛け合いにもぜひ注目してほしいところだ。

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