■ウルトラシリーズ『ウルトラマンマックス』の満島ひかり

 演技派女優として人気の満島ひかり。しかしそんな彼女にも、なかなか売れず苦悩した日々があったようだ。

 満島は7人組ユニットの「Folder」として活躍していたときに、1997年公開の特撮映画『モスラ2 海底の大決戦』に子役として初出演し、ゴーゴを最初に見つけた人物でもある人間サイドの主人公・浦内汐里を演じている。満島は、この作品での経験から役者を志すようになったとのちに明かしていた。

 音楽活動の休止後は役者に専念するようになった満島だが、なかなか芽が出なかった。そんな彼女を見出したのが、『ウルトラマンマックス』の金子修介監督だ。

 2005年から放送された“ウルトラシリーズ”の本作。満島はこの作品でアンドロイドのエリー役に抜擢された。エリーはDASHのオペレーターをつとめており、通信だけでなくデータの分析など組織において非常に重要な役割のキャラクターだった。

 エリーを演じるにあたって、感情をおさえて無機質な演技を見せた満島。彼女はこの演技について、2005年6月19日に開催された本作の制作発表&親子試写会で、「野球場の場内アナウンス」を参考にしていたことを明かし、正確に物事を伝える話し方を心がけたそうだ。

 アンドロイドのエリーだが、DASHのメンバーたちと交流を持つうちに、少しずつ人間のような行動を起こすようになるのが印象的。そんなエリーの変化も見事に演じた満島。彼女を即決でエリー役に抜擢したという、金子監督の見る目は正しかったのだろう。

 この作品で、金子監督をはじめ三池崇史監督や実相寺昭雄監督など名立たる名監督たちと仕事をしたことが、そのあとの満島の女優人生に影響を与えたことは確かだろう。

 

 超人気女優たちも、苦悩の時代を過ごしていた。彼女たちはときに“ちょい役”をこなしながら、突破口となる作品を虎視眈々と待っていたのだろう。仲間のように1つの作品で知名度をあげるものや、北川のように初期の作品から演技力の確かさを見せ、着実に大女優としての階段を上がっていくものなどさまざまだが、女優の彼女たちにとって自分の転機となる監督や作品との出会いはとても重要なものだったように思う。

 彼女たちの初々しい姿を見ることができると同時に、当時から一線を画す彼女たちの演技も楽しむことができるこれらの初期の作品たち。この機会に見てみてはいかがだろうか。

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