『ガンダム』シリーズのあるあるといえば、本来厳重に管理されるべきMSに勝手に乗り、無断で出撃するシーンである。多くのシリーズで描かれるその身勝手な行動は、ガンダムファンであれば「また始まった…。」と呆れかえってしまうことだろう。
今回はそんな『ガンダム』シリーズで物議を醸したお騒がせシーンを、3つ紹介しよう。
■私が一番ガンダムをうまく使えるんだ「セイラ・マス」
まずは『機動戦士ガンダム』第16話「セイラ出撃」より、本来オペレーターであるセイラ・マスが、ガンダムに乗り勝手に出撃するシーンだ。
舞台は地球にて、中央アジアを西へ航行中だったホワイトベースは深刻な塩不足に悩まされていた。地球連邦軍の重大作戦への参加を前に、塩を確保するべく塩湖を経由するという判断をとったのだが、そんなホワイトベースを狙ってジオン軍のランバ・ラル隊が攻撃を仕掛けてくるのだ。
敵の詳細な情報がつかめないためガンダムらMS隊に待機命令が下るが、ブライトが話している途中でセイラが急に駆けだし、ガンダムで勝手に出撃するのである。
自身の兄であるシャアについての情報を得るために敵に接触するという目的があったものの、なんの報告もなしにホワイトベースの主力MSを持ち出すというあまりにも身勝手な行動には、視聴者にもキャラクターたちと同様の混乱があったことだろう。特にブライトの話を聞かずに明後日の方向を見つめるセイラの無表情っぷりには、もはや呆れて笑うしかない。
アムロのガンキャノンの素晴らしい活躍によって事なきを得たものの、ガンダムを失うという一年戦争の勝敗を分ける決定的な戦いになった可能性があったことも、忘れてはならない。
■間違っているのは誰のどの行動か「カミーユ・ビダン」
続いてのお騒がせキャラは『機動戦士Zガンダム』の主人公、カミーユ・ビダンだ。
第3話『カプセルの中』にて、アーガマに搭乗しシャアたちと行動を共にするカミーユだったが、そこにティターンズの総司令官であるバスク・オムの親書を携えたエマ・シーンがやってくる。
ティターンズからの要求は、ガンダムMk‐IIとカミーユの身柄を渡さなけば、カミーユの両親を殺すという非道なものだった。カミーユの母・ヒルダが閉じ込められたカプセルが漂っていることをいち早く察知したカミーユは、母親を救出するために独断でガンダムMk‐IIで出撃するのだ。ヒルダの目前まで接近したカミーユだったが、無情にもジェリドのハイザックの射撃によってカプセルは破壊され、ヒルダは宇宙空間に放り出されてしまう。
このカミーユの行動をどう捉えるかは意見が分かれるところではないだろうか。自分の母親が無機質なカプセルで宇宙空間を漂っている状況など、決して想像できたものではないが、考えるより先に行動してしまう気持ちもわからなくはない。しかし自身の身柄と天秤に掛けられている状況で、冷静な判断を模索したところで最善の道があったのかというと難しいところだ。
客観的に見ればカミーユの行動は身勝手なものではあったものの、このシーンに関してはティターンズという組織の非道さに注目してもらいたいものである。