『セーラームーン』や『レイアース』も…90年代の『なかよし』はバトルヒロインの宝庫! かつての少女たちがこぞって憧れた名作を決めセリフと共に振り返るの画像
画像は『なかよし』1993年1月号 (C)2008-2015 Kodansha Ltd. All Rights Reserved.
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 1954年に創刊された『なかよし』(講談社)は、『ちゃお』(小学館)、『りぼん』(集英社)と並んで、小中学生向けの3大少女漫画雑誌のひとつと称されている。

 同誌は刊行中の漫画雑誌としては日本最古の存在だが、1970年代後半の『キャンディ・キャンディ』などのヒットの後、1980年代後半からは刊行部数が低迷。この状況を打破し他誌との差別化を図るため、それまでの恋愛漫画路線からより低年齢層をターゲットとしたファンタジー路線に切り替えられたという経緯がある。

 その結果生まれたのが、1992年に連載開始した武内直子氏による『美少女戦士セーラームーン』。中学2年生の月野うさぎが喋る黒ネコのルナと出会い、幻の銀水晶を探すためにセーラームーンに変身して悪と戦う物語だ。

 恋愛要素も残しつつ、少女が変身して悪と戦うというバトルヒロインもののストーリーがテレビアニメとともに大ヒットし社会現象にまで発展。現在もその人気は衰えることなく、世界中に多くのファンを持っている。

 さて、『なかよし』にはこの作品コンセプトのファンタジー路線の切り替えにより、『セーラームーン』以外にも多くのバトルヒロインものが生まれた。今回は、当時の少女たちの心を掴んだ、『なかよし』の名作バトルヒロイン漫画を振り返りたい。

 まずは、1994年から1996年まで連載された、立川恵氏による『怪盗セイント・テール』。ミッションスクールに通っておりマジシャンの父を持つ羽丘芽美が、盗品を盗み返して悪人達の罪を暴くという義賊「怪盗セイント・テール」となって暗躍する物語だ。

 変身時のセリフは「主よ、タネもしかけもないことをおゆるしください。ワンツースリー!」。また変身後にはセイント・テールの協力者で親友・深森聖良とともに「わたしたちに神のご加護がありますように」と祈るシーンも印象的だった。衣装は黒を基調としたマジシャンふうのもので、マジシャンとミッションスクールの要素を混ぜこんだ画期的なストーリーだった。

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