■一世を風靡したCLAMPの世界観

 1993年から1995年まで連載されていたCLAMPによる『魔法騎士レイアース』もこの時代の『なかよし』を語るうえで欠かせない存在だ。

 同作は社会科見学中の、お互いに縁もゆかりもない女子中学生3人が異世界に転移するところから始まり、世界を救う旅に出る物語。内容は少女向けにしてはシリアスで、主人公の獅堂光らは元々は異世界セフィーロの「柱」であるエメロード姫の救いだすために旅に出たのだが、実は自分たちの本当の役目は務めを果たせなくなった「柱」を討ち取ることだったという、衝撃の展開を迎える。

 異世界の壮大なスケールで繰り広げられる旅は、当時の少女たちをワクワクさせた。またCLAMPの書き込みの細かい美しいイラスト、特に同作品においてはキャラクターたちの瞳や、宝石、剣、衣装の描写が秀逸だった。印象深いセリフは、光が攻撃時に叫ぶ「炎の矢」という必殺技のセリフだ。

 さらに、異世界の登場人物の名前が自動車の名前だったり、親しみやすいマスコットキャラクター・モコナが登場するなど、このほかにも『レイアース』が人気の理由はたくさんあった。

 そのCLAMPの次作が1996年から2000年まで連載された『カードキャプターさくら』。こちらは『レイアース』よりも日常的な要素の強い作品で主人公も小学4年生とかなり低めに設定されている。

 同作は主人公・木之本桜が魔法のカード「クロウカード」を集める物語。変身少女ものとはいっても、毎回着替える「さくら」の衣装は友人の自作で、派手な変身シーンもない。しかしそのこだわり抜いた毎回異なる衣装はどれもかわいらしく、現在まで何度もグッズ化されている。

 少女たちもマネしたセリフは、いつもは鍵のサイズの封印の杖を元の姿に戻す呪文「封印解除(レリーズ)!」と、カードを封印するときの「汝のあるべき姿に戻れ、クロウカード!」。1998年放送開始のアニメも大ヒットし、2018年には「カードキャプターさくら クリアカード編」の放送が記憶に新しい同作。呪文がすぐに脳内再生できるという人も多いのでは?

 1990年代『なかよし』には、少女の心をときめかせる作品が多くあった。アニメ・漫画好きの原点が『なかよし』にあるという人も多いのではないだろうか。

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