■衝撃的なデザインのMFで飽きさせない
そして『Gガンダム』の魅力といえばやはりMFのデザインも欠かせない。主役機のシャイニングガンダムやゴッドガンダムは正統派かつヒロイックな見た目だが、各国の代表機体はそれぞれのお国柄を強く反映したもの。いや、反映しすぎていると言っても過言ではないかもしれない。
アメフト、ガンマン、ボクシング、星条旗と、これでもかとアメリカ的な要素を詰め込んだ「ガンダムマックスター」や、中国拳法っぽいスタイルと両腕に龍を携えた「ドラゴンガンダム」。そうした一目見てどの国の代表なのか分かる機体もあれば、ネオネパール開発による釣り鐘をモチーフとした「マンダラガンダム」や、ネオオランダによる風車モチーフの「ネーデルガンダム」など、つい「……勝つ気があるのか?」と疑いたくなるキワモノデザインも登場したりする。ネオスウェーデンの「ノーベルガンダム」に至っては、まるでセーラー戦士のようなボディ中央にリボンをつけて頭部に金髪をなびかせたデザイン。こうした常識にとらわれない発想の機体の数々に驚かされたが、これらが後のシリーズやロボットアニメに与えた影響は計り知れないだろう。
■『Gガンダム』が引き継いだガンダムのテーマ
と、書き連ねるとイロモノっぽく見えてしまいそうな『Gガンダム』ではあるが、実は本作の本質は宇宙世紀のガンダムシリーズに共通するものがあるのではないだろうか。
終盤までドモンに立ちはだかる東方不敗は、たびたびガンダムファイトの裏で暗躍。デビルガンダムの力を使って地球から人類を排除し、そのナノマシンで地球環境を再生しようと企んでいた。
これは地球の引力に魂を引かれた者を粛清せんとした、シャア・アズナブルに似たところがある。地球環境のために人類を抹殺しようとする東方不敗に対して、ドモンは「人類も地球の一部、その人類を排除するなど愚の骨頂」と真っ向から対立し、両者の最終決戦が始まるのだ。
この2人の最終決戦について、ガンダム史上屈指の名勝負に挙げるファンも多い。まだ見ていない人はぜひ見てほしいものだ。
ニュータイプもいない、戦争もしない、変わったデザインのガンダムがたくさん登場するなど、異色の作品とも思われがちな『Gガンダム』。だが分かりやすいストーリーと個性的なMF、その裏で繰り広げられる地球を巡る戦いは、それまでの宇宙世紀からのガンダムの世界観を受け継いでいる。ガンダムファイトという大きな戦いの裏で真の黒幕が暗躍し、大会終了後に黒幕との戦いが始まる。王道ホビーアニメのような流れがあるため、これからガンダムを見ようと考えている小中高生にも、入り口としてオススメできる作品ではないだろうか。