2月22日は「にゃんにゃんにゃん」の鳴き声から「猫の日」として、毎年SNSにイラストや写真が多数アップされる日でもあるが、ガンダムファンにとっては『機動武闘伝Gガンダム』の東方不敗マスター・アジアの誕生日として認識している人も少なからずいるのではないかと思う。
それまでの富野由悠季監督によるシリアスな宇宙世紀の『ガンダム』シリーズがひと段落し、新たなファンを獲得するべく作られたのが1994年4月から1年間にわたって放送された『機動武闘伝Gガンダム』。総監督を務めたのは、『ミスター味っ子』であまりにも豪快なグルメアニメを作り上げた今川泰宏監督で、その原作のイメージを覆すパワフルな作風が、そのまま『ガンダム』でも引き継がれた。主人公ドモン・カッシュや、その師匠である東方不敗などの個性豊かなキャラ。低年齢層にも分かりやすい設定にストーリー、カッコいい機体。そしてその裏で展開される複雑な人間関係。今回は東方不敗の誕生日を機に、異色作『機動武闘伝Gガンダム』の魅力を振り返りたいと思う。
■リアルロボットアニメ『ガンダム』をぶっ壊した設定
まず目を引くのがその唯一無二の設定だろう。本作では各国がガンダムを国代表として出し合い、世界の覇権を懸けた「ガンダムファイト」という格闘技大会で戦いを繰り広げる。
それまで『ガンダム』シリーズでは機体をMS(モビルスーツ)と呼んでいたが、本作で登場するのはMF(モビルファイター)。設定も当然大きく変わり、ここでパイロットの動きがそのまま機体に反映される「モビルトレースシステム」を搭載している。このモビルトレースシステムを使うため、パイロットは専用のゴム状のスーツを着用するが、この着用に大きな負荷がかかる。操縦技術が必要な宇宙世紀とは違い、パイロットそのものの肉体的強さが求められるのだ。
主人公のドモン・カッシュも鍛え抜かれた格闘家だが、彼を始めとした登場キャラたちはものすごい身体能力の持ち主。本日誕生日を迎えた、東方不敗は生身でMFを破壊する。『Gガンダム』は今でこそ、名シーンや名セリフがアニメファンに知られる存在となっているが、90年代当時にリアルタイムでこの作品を見た人は、こうしたあまりにも斬新な設定の数々に相当驚いたのではないだろうか。