チェンソーだけじゃない!? 『ノー・ガンズ・ライフ』に『めだかの学校』不気味でもかっこいい「異形頭」キャラクターの魅力の画像
『チェンソーマン』(C) 藤本タツキ/集英社・MAPPA
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 2022年10月よりアニメ放送され、大きな話題を集めた『チェンソーマン』。同作は瀕死のところをペットであるチェンソーの悪魔・ポチタと一心同体となることで「チェンソーマン」として復活した主人公・デンジの物語。胸についた紐を引っぱることで、頭部がチェンソーのようなかたちになり、その姿で敵をなぎ倒していく。

 彼のように、人間の頭部に別の動物や機械など無機物のパーツがついているキャラクターのことをアニメ・漫画ファンの間で「異形頭」と呼ぶ。意外にもそういったキャラクターは多く、感情の読みにくさや不気味さがありながらも、彼らのようなキャラクターが人気を集めることは珍しくない。

 たとえば、2019年から2期にわたってアニメ化されたカラスマタスク氏による漫画『ノー・ガンズ・ライフ』の主人公・乾十三もそうだろう。彼の頭部は巨大なリボルバー銃になっている。

 同作は硬派なハードボイルド的世界観が魅力のSF作品で、作中では乾のように「拡張者(エクステンド)」と呼ばれる身体を機械に置き換えた人間が多く登場する。乾は拡張者と非拡張者のトラブルを始末する処理屋で、手のリボルバーに仕込まれた炸薬を使っての正拳突きで戦う。

 彼の経緯などについてはネタバレになるので触れないが、『チェンソーマン』同様、凶器ともなり得る武器が頭についているその姿は恐ろしくもカッコいい。

 林田球氏の漫画『ドロヘドロ』の主人公・カイマンは、魔法でトカゲ頭にされてしまい、本当の顔と記憶を取り戻すために奮闘するキャラだ。首をはねられても新たな頭部が再生するという特徴を持っており、ほぼ不死。そのダークな世界観から、記憶を失っているカイマンが本当は何者なのか、読者も注目しながら連載期間の18年を見守った。なお同作にはカイマン以外にも異形な頭部を持つキャラクターや、覆面マスクをかぶったキャラが多く登場する。

 正体が明かされていない謎の生き物が登場するのは冨樫義博氏による『HUNTER×HUNTER』。物語が暗黒大陸編に差しかかるタイミングで登場した、人類が暗黒大陸から持ち帰った五大厄災のひとつで「謎の古代遺跡を守る正体不明の球体」であるブリオンは、成人男性の体の上に、頭ほどの大きさの球体がついた謎の植物兵器だ。

 いまだ本編で説明されていないことから、どの部分が本体なのか、球体部分はツルツルなのかフサフサなのか、意思を持っているのかなどとにかく謎だらけのブリオン。ファンの間でもさまざまな議論が繰り広げられたが、LINEスタンプでこの球体の部分が緑色であることが明らかになっている。今後の本編での活躍が楽しみなキャラクターだ。

 何やら不穏で恐ろしいことを演出するのに、異形頭の存在は欠かせない。ホラーゲームにおいては、頭部が無機物となったクリーチャーがプレイヤーに大きな恐怖を与えるもので、2014年のゲーム『サイコブレイク』には頭に金庫をかぶった「キーパー」なる敵が登場。また2001年の『サイレントヒル2』以降の同シリーズでは頭に角錐状の兜をかぶった筋骨隆々のクリーチャー「三角頭」が登場しており、いずれもホラーゲームを代表するような敵として人気が高い。こうしたキャラのデザインや演出が、のちの漫画作品に与えている影響も大きいのではないだろうか。

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