■あまりにも残酷だった「墓場島殺人事件」
恐怖シーンが多い堂本剛版『金田一少年の事件簿』において「墓場島殺人事件」は1、2を争うほどのトラウマを与えた放送と言われている。
この事件は、金田一や美雪を含めたクラスメイト数人が、夏休みを利用してバカンスに行き、ひょんなことから墓場島という無人島を訪れたところからはじまる。墓場島はかつての激戦地で、戦闘機の残骸など戦争の傷跡が残る島だった。金田一たちは、そこで偶然出会ったサバゲーを楽しむ大学生たちとともに過ごすうち、事件に巻き込まれるというエピソード。
原作においても非常に怖い事件だが、ドラマ版の墓場島の夜の描写が怖すぎる。特に犯人が夜中に迫ってくる場面は、カメラワークと音響を駆使した演出により、今まさに草むらをかき分けて走ってきているような臨場感ある恐怖シーンとして描かれた。
また、ドラマ版の被害者たちの描写も恐ろしい。爆発で下半身が吹っ飛んだ死体や、喉を一突きされ寝袋の中で血まみれになった死体など……。現代のドラマでは再現が難しいような残酷な演出により、犯人の残虐さがよりプラスされており、思わず目をつぶりたくなるほどだった。
今回、この事件を紹介したくて執筆したほど今でも鮮明に記憶に残っている事件だ。なおこの堂本版「墓場島殺人事件」は、道枝駿佑版『金田一の少年の事件簿』の開始を記念して2022年4月に深夜帯で再放送された。初めて見た人は、90年代当時は土曜日21時にこのような残酷な演出を行っていたのかと驚いたのではないだろうか。
以上、堂本剛版『金田一少年の事件簿』のドラマで、筆者が特に恐怖を感じた3つの事件を紹介した。トラウマとはいえ、当時はテレビの前でドラマが始まるのを楽しみに待っていたのをとてもよく覚えている。ぜひこの機会にかつての思い出を振り返りながら『金田一少年の事件簿』に浸ってみてほしいところだ。