漫画やアニメのキャラクターの名前は、作者の遊び心から、日本に実際に存在する地名から名づけられることがある。
有名なのが井上雄彦氏によるバスケ漫画『SLAM DUNK』のキャラクターだ。天才シューターで読者人気も高いキャラ・三井寿の名前は、福岡県三井郡大刀洗町にある井上合名会社で製造されている「三井の寿(みいのことぶき)」という日本酒が由来だという。
作者である井上氏は詩人の伊藤比呂美氏との対談『漫画がはじまる』の中でこの日本酒がお気に入りで、名前として採用したことを明かしている。ちなみに三井の背番号である「14」は、「三井の寿」の酒の度数とも同じという意外な理由もあるそう。
同様に、主人公の桜木花道の悪友「桜木軍団」メンバーの大楠・野間・高宮の名前も、福岡市南区に同じ名前の地名が密集しており、ここから採用したようだ。
このように、数多くのキャラが登場する漫画作品の中には「実在の地名」から名前を引っ張ってくるというケースが少なくない。
『スラダン』と同じく九州繋がりなら、やはり『週刊少年ジャンプ』に連載されていた西尾維新氏原作、暁月あきら氏作画の『めだかボックス』もそうだ。
同作では、登場人物全員の苗字に、九州地方の地名が使われている。黒神や人吉、安心院、雲仙、江迎、大刀洗など、聴き慣れない変わった名前も多いが、全て実際に存在する地名だ。ちなみに、実際に漫画を読んでみるとわかるが、どうやら地名がマイナーであればあるほど主要キャラとして扱われることが多いようだ。
また新潟県出身である和月伸宏氏による『るろうに剣心』では、ヒロインである神谷薫の神谷をはじめとして、来迎寺、朝日、不動沢、片貝、渋海など新潟県の地名が多く使われている。
同じく大阪府出身である中条比紗也氏の少女漫画『花ざかりの君たちへ』では、芦屋、中津、難波、天王寺、道頓堀、九条など、読者にとっても聴き慣れたメジャーな関西の地名が多く使用されている。