■桜木の課題を明確にしたディフェンス

 三井はその知性を活かし、桜木が身につけるべき能力を指し示すという先輩らしいディフェンスを披露したことがある。

 それは、インターハイ予選決勝リーグの初戦・海南大附属に敗れたあと、1年生対2・3年生(赤木を除く)でゲーム形式の練習のときだ。安西監督の指示を受け、センターの桜木とマッチアップすることになった三井。

 当時の桜木はダンクかレイアップシュートしかできない状態だったため、ゴール下に入り込むことができないと得点に絡むことができなかった。そこで、三井は桜木をゴール下に入れないように位置取りし、無理にゴール下に入ろうと桜木がドリブルを仕掛けると、オフェンスチャージングを奪うという絶妙なディフェンスを披露したのだ。

 さらに、桜木を導くかのように「リングはすぐそこだぞ!! そっからシュート狙ってみろ!! お前のほうが高さがあるんだぞ!!」とゴール下からシュートを打つようにアドバイスを送った。

 知性あるプレイだけでなく、後輩に対しての面倒見のよさが分かる三井の別の魅力が見えてくるシーンだ。堀田たちが山王戦まで三井の応援のために駆けつけたことを見ても、仲間から慕われているのがよくわかる。

 戦略家・三井が仕掛けた数々の頭脳プレイの中から、特に印象深い3つのプレイを紹介した。スリーポイントシューターとして活躍する三井ではあるが、バスケIQの高さに注目してストーリーを振り返ってみると、また違った三井のすごさが見えてくるかもしれない。

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