『SLAM DUNK』バスケIQはピカイチ!湘北随一の戦略家・三井寿の“頭脳プレイ3選”…安西先生の言った「知性」の本領の画像
『SLAM DUNK』Blu-ray Collection VOL.5(TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D))

 2022年12月3日から公開開始となった映画『THE FIRST SLAM DUNK』が興行収入94億5400万円を突破し、大ヒットを記録している。原作は井上雄彦氏のバスケ漫画『SLAM DUNK』だが、映画の話題を受けてもう一度コミックスを読み返しているというファンも多いのではないだろうか。

 同作の魅力は数えきれないほどあるが、中でもやはり湘北高校のバスケ部メンバーを中心とした登場人物が個性豊かで、連載当時からそれぞれのキャラが人気を集めていた。今回は初登場時は不良生徒としてバスケ部襲撃に関わったものの、その後の努力でチームの勝利に貢献した「炎の男・みっちゃん」こと三井寿の魅力について振り返ってみたいと思う。

 原作最後の試合として描かれた山王工業戦では安西監督から部員それぞれに声をかける場面があった。このとき桜木花道に「このチームにリバウンドとガッツを与えてくれた」、宮城リョータに「宮城君がスピードと感性を」と安西先生がそれぞれの良さを語る中、三井に与えられたのは「三井君はかつて混乱を ほっほっ……のちに知性ととっておきの飛び道具を」というものだった。

 三井の3ポイントシュートは何よりの武器だったが、「知性」とは何だったろうか。学校では桜木や流川らと同じく「赤点軍団」入りをしていたものの、三井といえばやはり「バスケIQ」の高さが光っていた選手。そこで今回は、戦略家・三井が仕掛けた数々の頭脳プレイの中から、特に印象深い3つのプレイを紹介したい。

■福田からオフェンスチャージングを奪ったディフェンス

 インターハイ出場の最後のイスをかけた陵南戦では、頭脳プレイとともに高いディフェンス能力を見せている。

 スコアラーとして新たに加入した福田とマッチアップしていた桜木だが、簡単に抜かれてしまう。しかしそこに立ちはだかったのが三井寿だった。赤木よりも先に反応した三井は、福田の前に立ち、オフェンスファウルであるチャージングを奪うことに成功。「あんまカンタンに抜かれんなよ桜木」と不敵に笑う姿から、チャージングを奪うように計算してディフェンスしたことがうかがえる。 

 このディフェンスには、海南大付属・牧や翔陽・藤真も「三井!」「うまい!」と注目している。ちなみにバスケ経験者の筆者からしても、オフェンスチャージングは奪おうと思ってもタイミングがかなりシビアで難しい。計算はもとより、それを成立させる三井の巧みなディフェンス能力が分かるシーンとなっている。

■山王・松本から奪った魂の4点プレイ

 インターハイ2回戦目、王者・山王工業との試合で三井は値千金の4点プレイを披露している。

 一時は20点あった点差を、怒涛の攻撃で5点差まで追いついた湘北。さらに速攻を仕掛けた場面で三井にパスが渡る。3ポイントシュートを決められてはワンゴール差になってしまうため、山王の松本はシュート体勢に入る三井に向かって必死のシュートブロックを試みる。

 しかし、ここで三井は松本が思いもしなかった判断をしたのだ。ブロックを受ける前にシュートを打っては、ファウルを受けてもフリースローをもらうことができない。そこで、シュートフェイクを入れてファウルをもらうタイミングを遅らせ、わざとブロックを受けながらシュートを放ったのだ。この判断と確かな3ポイントシュートの能力により、4点を獲得することができた。

 このシーン、三井の頭脳プレイはもちろんのこと、「よくぞ走ってた三井」という木暮の言葉に尽きるだろう。体力が限界を迎える中、速攻に参加し、4点をもぎ取る。この魂がこもったプレイに、思わず涙した読者も多いのではないだろうか。

  1. 1
  2. 2