『19(ヌイーゼン)』に『バイオミラクル ぼくってウパ』…タイトルとパッケージでは想像できない“ディスクシステムの隠れた秀逸ゲーム”3選の画像
『ファミリーコンピュータ ディスクシステム』(任天堂)

 ファミコンの「ディスクシステム」のゲームには、タイトルとパッケージではどんなものなのか想像すらつかないものがあった。このようなゲームの場合、思わず“クソゲー”と呼んでしまいがちなのだが、実はとても面白い秀逸なゲームも存在する。いわゆる食わず嫌いのようなものだろう。

 そこで、ディスクシステムのなかでも、タイトルとパッケージから敬遠しがちだった隠れた秀逸ゲームを紹介していこう。

■戦略の差を戦術でカバー! ハマれば爽快感を味わえる『19(ヌイーゼン)』

 まずは、『19(ヌイーゼン)』(ソフトプロ)だ。うむ、さっそくなんのことか分からない……。

 パッケージには4人のオリンポスのような石像が駒となって描かれているので、チェスか?と思ったものだが、実はこれ、ウォー・シミュレーションゲームなのだ。

 サブタイトルの“ヌイーゼン”は、ドイツ語で“19”という意味らしい。なぜドイツ語なのか筆者にはいまだに分からないのだが、この“19”という数字はバビロニア王国にある19カ条の条文が記された「万能の石」を指しており、これを見つけるのがストーリーだからなのだろう。まったくよく分からん設定なので、謎は深まるばかりだ……。

 まあ、それはいいとして、このゲームはなかなか面白い。戦略上で敵よりも劣る場合があったとしても、戦術でカバーできるのだ。

 その理由に、ゲームシステムがある。このゲームではヘックス上を移動するときに、まずは戦闘指示を出す。敵味方の全軍に指示を出し終えると、リアルタイムで一斉に指示通りの動きを見せる。

 つまり、自軍の部隊が敵のヘックスへ向かって進んだとしても、敵が回り込んで背後を取られる場合があるということ。また、遠隔攻撃しようにも、敵が下がることもあれば、突進して近接戦になることも十分ある。敵の動きを常に予測しなければならない状況……これには燃えたな。

 戦術性がかなり重要になるのだが、ハマる人は多かっただろうと思う。残念なのは『ファミコンウォーズ』や『大戦略』のようなゲームイメージが湧くタイトルやパッケージだったら、もっと認知度が向上していたのにな……ということだ。

■まさかの赤ちゃんが主人公…ハイハイで世界を救う!?『バイオミラクル ぼくってウパ』

 本当にまさかのゲームだったのが『バイオミラクル ぼくってウパ』(コナミ)だ。パッケージには赤ちゃんが描かれているので、主人公が赤ちゃんというのは予想がつくのだが、なんとこれ、横スクロールのアクションゲームなのだ。

 なるほど、当初は赤ちゃんを救うゲームなのかと思ったのだが、いきなり主人公・ウパはハイハイをして敵に襲われていく。実はこのウパ、並の赤ちゃんではない。なにしろ、生後1カ月でハイハイができるという成長ぶりなのだから……。普通の赤ちゃんは首もすわってないぞ。

 ルアクーヨ王国の王子のウパ、自分が割ったツボから封印を解かれた魔獣によって王国が危機に陥ってしまう。自分のせいなのだが、まあ赤ちゃんなのでそれは仕方ない。魔獣は大人たちの夢を奪い、純粋な赤ちゃんたちは一人残らずさらっていくという極悪ぶり。そして、なぜか助かったウパが魔獣を倒し、赤ちゃんたちを救うというストーリーとなっている。う〜ん、今考えると無茶があるな……。

 しかし、このウパは強いぞ。敵キャラをなぎ倒していき、崖があってもハイハイからジャンプで飛び移る。何をするのかを理解しているのが素晴らしいではないか! しかも、途中でアイテムのベルを取るとパワーアップして立ち上がり、無敵になるのだ(なんでやねん)。

 スーパーマリオ並にステージが多くあり、なかなか長く遊べたな。ウパの動きも可愛いし、赤ちゃんが主人公でアクションゲームという設定が良かったな。

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