■一瞬でいい湯加減「ビームサーベルで湯沸かし」

 最後に紹介するのは『機動戦士ガンダム第08MS小隊』第7話「再会」より、主人公であるシロー・アマダの陸戦型ガンダムのビームサーベルで、お湯を湧かすシーンだ。

 敵対勢力でありながら互いに想いを寄せ合うシローと、巨大MA・アプサラスⅡを操るアイナ・サハリンは、激しい戦闘の末、雪山に落下してしまう。シローは極寒の地で意識を失ったことで凍傷になった手を温めるため、アイナに陸戦型ガンダムの操縦を頼み、ビームサーベルを雪の地面に近づけ、最低出力でビームサーベルを起動させる。ビームの熱で雪を融かすと同時にお湯を湧かすという、なんとも衝撃的な方法で暖をとったのだ。

 さらにシローとアイナはその後、風呂としてそのお湯につかるのだが、ビームサーベルは機体の装甲を貫くために開発された強力な兵器である。果たして、その温度は人間が入浴可能な40℃程度で留まるのだろうか? と野暮な想像を働かせてしまった。

 また、続編である『機動戦士ガンダム第08MS小隊 ラストリゾート』では、戦争後に乗り捨てられたゲルググのビームナギナタを池に直接刺し込み、その熱で沸かしたお湯につかるというシーンも確認できる。

 こちらは雪を溶かしてお湯にするのではなく、池をビームで直接温めるのである。そこに子供たちが次々と飛び込むのだが、場合によっては、お笑い芸人もリアクションを取れないほどの“熱湯風呂”になっていてもおかしくないはずだ。

 実際には低出力のビームの温度がどれほどかは予測がつかないため何とも言い難いが、驚きのシーンの1つとして紹介させていただいた。

 

 もっとも、こうした衝撃のシーンもまた長い歴史を持つ『ガンダム』シリーズの魅力の一つであり、重要な歴史の1ページなのである。ファン同士で楽しめるネタ的な要素があるからこそ、多くの人に語り継がれ、日本の代表的なSFアニメに成長したのかもしれない。

  1. 1
  2. 2