1979年に初めてTVアニメが放送されて以来、今もなお愛され続けている『機動戦士ガンダム』シリーズ。現在は令和ガンダムと呼ばれる『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の第1クールが終了し、2023年4月からは続く第2クールの放送が決定している。
昨今のガンダムシリーズは、各種兵器の特徴や装甲として使用されている素材など、設定が緻密に練られているが、過去のガンダム作品は設定が甘かったとまでは言えないものの、設定にちょっとした矛盾が生じていたものがあったのをご存じだろうか?
今回はそんな歴代『ガンダム』の中から、視聴者が思わず2度見してしまうような、疑惑の衝撃シーンを3つ紹介しようと思う。
■そんな機能付いていたの!? まさかの「ガンダムがしゃべる瞬間」
最初に紹介するのは、初代『機動戦士ガンダム』第18話「灼熱のアッザム・リーダー」より、主人公のアムロ・レイが駆るガンダムが、突然しゃべり出すシーンだ。
直前の戦闘後、パイロットとしての適性がないのではと話す艦長ブライト・ノアの声を聞き、ガンダムと共に艦を脱走していたアムロ。当てもなく放浪する中で、偶然発見したジオン軍の採掘基地を独断で奇襲するのだが、ジオン軍のマ・クベとキシリア・ザビが乗る巨大モビルアーマー(MA)「アッザム」と対峙した際に、衝撃のシーンが訪れる。
“リーダー”と呼ばれる特殊な粉末により、放熱磁場を形成する鳥かごのようなワイヤーの中に捕らわれ、ガンダムの表面温度は4000℃にまで達してしまう。その時コックピット内に突然、「パイロット及び回路を保護するため、全エネルギーの98%を放出中」と、まるでヘリウムガスでも吸ったかのような高い声で、ガンダムがしゃべり出したのだ。
しばらく動けずにいたアムロだったが、マ・クベがアッザムの性能に感心している間に放熱磁場が弱まり始める。それに合わせて再び「放熱エネルギー低下」とガンダムがしゃべり、アッザムの砲撃を直前で盾で防いだアムロは、ビームジャベリンでアッザムを突き刺し、危機を脱することに成功した。
アムロの瞬時の判断で勝利を収めたシーンだが、その結果よりも今までしゃべることなどなかったガンダムが、突然警告を発したことに驚いた人の方が多いのではないだろうか。厳密に言えば、ガンダムに搭載されたAIが緊急時の警告としてしゃべり出したと考えられるが、以降アムロがいかなるピンチに陥ろうと、ガンダムがしゃべって警告することは一度もなかったのだ。
設定がいまいち定まっていなかったことがうかがえる、初代ガンダムの衝撃の1コマである。
■パイロット次第では最強だった?「驚異の装甲を持つザクレロ」
続いて紹介するのは、同じく初代『機動戦士ガンダム』第32話「強行突破作戦」より、戦艦並みの威力であるガンダムのビームサーベルが、2度もはじかれるという衝撃のシーンだ。
アムロの永遠のライバルであるシャアが第2話で初めてガンダムと対峙した際、ガンダムが持つビームライフルの威力に、「なんということだ! あのモビルスーツは戦艦並みのビーム砲を持っているというのか!」と驚愕したのは有名だ。そのことから、ガンダムのビームライフルに対し“最強”というイメージを持った人も多いことだろう。
しかし第32話では、ハヤトが駆るガンタンクがザクレロと対峙してピンチに陥った際、目視できない遠距離から放ったアムロのビームライフルがザクレロに直撃。しかしザクレロはその後、何事もなかったように動き続けているのである。ビームライフルの威力を信じていた視聴者は「んっ?」と一瞬困惑したことであろう。
しかし、ビーム兵器が水中だと威力が減衰してしまうように、「長距離から放ったビームだから威力が落ちたのかな?」という予測もできる。だがその次のシーンで、互いに目視で視認できる超至近距離から放ったビームライフルが、またもザクレロに直撃。ところが、ザクレロは再びビームを弾き飛ばし、無傷で動き続けているのである。さすがに、思わず2度見してしまったのは筆者だけではないはずだ。
その後は正面から突撃してくるザクレロをガンダムが上方に回避し、ビームサーベルを突き刺してあっさりと勝利を収めた。操縦していたのはデミトリーという曹長クラスのパイロットだったが、ビームライフルをはじく驚異の装甲を持つザクレロを、もし仮にシャアが操縦していたら……その勝敗は予測がつかないものになりそうだ。
いや、戦艦並みのビーム砲で貫けなかったのにビームサーベルであっさりその装甲を貫いてしまうのだから、予測がつかないのは当時の設定と言うべきだろうか……。