『ライブアライブ』の勇者の山に『メタルギアソリッド』のシャドーモセス島…印象的な冬景色が出てくるゲーム4選の画像
画像はプレイステーション版『メタルギアソリッド INTEGRAL』(コナミ)より
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 雪が降る季節になると、過去に遊んできたゲームの冬景色を思い出すという人も少なくないのではないだろうか。猛吹雪の場面からスタートする『ファイナルファンタジー6』のような例や、『ドラゴンクエスト2』で過酷な洞窟を抜けた先に待ち受けるロンダルキアの雪原の例など、事がいま重大な局面にあるということをプレイヤーに悟らせるゲームの演出として、一般的に厳しさの意味でも引用される冬と、その象徴である雪の相性は良い。そして場面がいかに過酷であっても、ドット絵やCGによる静かな雪描写の美しさに引き込まれてしまう。

 そこで今回の記事では、冬景色が印象的なゲームを4つピックアップ。各作品において、それらがどのタイミングで出てくるのか、そのときの物語の展開なども交えて紹介しよう。

■『ライブアライブ』より勇者の山

 まずは1994年にスーパーファミコンで発売されたRPG『ライブアライブ』から。同作は、時代、場所、主人公が異なる7つの物語を、プレイヤーは好きな順番で遊ぶことができる作品で、ゲーム性もそれぞれで異なり、ステルス要素やサスペンスなどさまざまだ。2022年には、Nintendo Switch向けに本作のリメイク版がリリースされたのも記憶に新しい。

 7つの物語をクリアした後に出現する“中世編”で、蘇った魔王の打倒を目指す主人公のオルステッドと、相棒のストレイボウは、賢者ウラヌスを連れて勇者の山を訪れる。勇者の山には、かつて魔王を打ち倒したハッシュという勇者がいて、彼の助力を得るためだった。

 ハッシュが仲間になるまでのくだりは中世編の前半だが、そこで展開される話はすでに重い。かつてハッシュは魔王を倒した勇者として、祖国であるルクレチア王国から迎えられるが、その名声に寄ってたかって依存する人々の醜悪ぶりに幻滅し、いつからか勇者の山に籠もってしまった。勇者の山は雪をいただく過酷な山であり、ハッシュ自身の冷めた心と、世俗を拒もうとする意志を間接的に表現しているようにも思える。

 それだけに、ウラヌスの言葉に奮起した彼が山頂に登り、土中に埋めた剣・ブライオンを掲げて魔王打倒を誓うシーンは印象深い。ちなみにリメイク版では、ハッシュが掲げたブライオンの刃先がきらめいた際、周囲のもやとともに曇天が晴れるという演出が追加されている。勇者の山と、そこに閉じこもったハッシュが抱えていた過去、それまで重くのしかかっていたものが覆る瞬間だった。

■『メタルギアソリッド』よりシャドーモセス島

『メタルギアソリッド』は、『メタルギア』シリーズの3作目であり、1998年に発売されたアクションゲーム。特殊部隊“FOXHOUND”が占拠しているシャドーモセス島に単独潜入したソリッド・スネークが、人質の救出や敵による核攻撃の阻止のために戦うという内容だ。スネークの行く先々で変死するキャラクターたち、今回の任務に隠された狙い、水面下で進む陰謀など、重厚かつ先の読めない展開が注目を浴び、本作の物語は“20世紀最高のシナリオ”とも評された。シリーズ初の3Dが採用されたのも特徴で、敵から隠れて進むステルスアクションに奥行きが加わり、より緊迫感が増している。

 舞台となるシャドーモセス島は架空の島だが、その位置はアラスカのフォックス諸島沖という極地。北海道よりもさらに高緯度にあるためか、屋外であればだいたい雪がある。つまり本稿で紹介しているほかのタイトルと違い、最初から最後まで物語に冬景色が絡んでくる。

 本作の物語の全容は、この記事中に収めるにはさすがに長いので、印象的なところを抜き出したい。ひとつ挙げるとすれば、ソリッド・スネークとスナイパー・ウルフが雪原で撃ち合う場面だろうか。

 木々がいくつか生えている程度の殺風景な雪原を舞台に、スネークは自分の行く手を阻むスナイパー・ウルフに狙撃戦を挑む。スネークからすれば、核搭載二足歩行型戦車“メタルギアREX”の格納庫を目指すには、雪原は避けて通れない。FOXHOUNDの隊員であり一流のスナイパーであるウルフからすると、スネークは自分の誇りに懸けて殺すと誓った標的でもある。

 ウルフと親交があったハル・エメリッヒ博士が止めに入るも、ふたりは戦い続け、やがて致命傷を負ったウルフはスネークによって介錯された。元々ウルフが持っていたハンカチを、スネークが打ち覆いとして彼女に返すところ、博士がスネークに闘う理由を問うシーンなど、雪原でのウルフ戦はその後も名場面が続いた。戦場の過酷さを知らない博士にとって、一連の流れは大きな出来事であり、彼からすると精神的な意味での山場だったと言える。

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