■膨大な時間とお金をかけて買ったコートの性能
さて、このミンクのコートですが、もうお気づきの通り、性能は価格には全く見合わない非常に残念なもので「守備力+30」するだけのものでした。4300Gで購入できる「まほうのよろい」が「守備力+25」ということを考えると、このコスパの悪さはまさに「ミンクのコート」といえるのかもしれません。高級品であって、実用品ではない、ということを教えるための「罠」だったのかもしれませんね。
それでも当時は、「守備力5の差はダメージ換算でほぼ1しか変わらない」という事実を知らず、耐性などの知識もなかったので、みずのはごろもをサマルトリア王子に渡して王女にミンクのコートを装備させて、「これでムーンブルク王女が最強になった」とニコニコしていました。膨大な時間とお金をかけて、王女を弱体化させているだけの行為でしたが、それでもすごい満足感だったのを覚えています。
RPGといえば、その町・城で売っている最強装備を揃えてからじゃないと次に進めない、せっかく苦労して買った装備が次に向かうダンジョンの宝箱に入っている、といったあるあるがあるかと思いますが、僕はまさにこの手の思考でRPGを進める癖がありました。
慎重派といえば聞こえはいいですが、とにかく「失敗したくない」ためできることはすべてやってから次に行きたい、という臆病心からの行動で、結果としてそれが悪手につながることをこのミンクのコート事件で学びました。
のちに受ける「あれ、めっちゃクソ防具だったんじゃん!」という衝撃とともに、「もう店売り防具は信用しない」「守備力がすべてではない」という学びは、のちのRPG攻略の効率アップにつながったので、今となってはいい思い出です。
ちなみに、リメイク版の『ドラクエ2』でのミンクのコートは、価格は据え置きで「守備力+60」だそうです。2倍になっている。ちなみにみずのはごろもは「+65」だそうです。誰が買うんだよ。
■バランスがいびつなところが可愛い名作
『ドラクエ2』といえばこうしたバランスの悪さからたびたび話題に上がりますが、正直印象ほど難しいゲームでもありません。
たしかに何度も全滅しますが、クリアできないほどではない。ヒントこそ少ないですが、だからこそ世界中を回って人の話を聞いて進める、というRPGの基礎を楽しめる作品だと思います。
今回振り返ったように、「ミンクのコート」の性能のしょぼさだけはまだ納得いっていませんが、古き良きRPGの矜持を味わえる名作ともいえるでしょう。
みなさんは『ドラクエ2』にどんな思い出がありますか? ちなみに僕の初めてのデータでは、ムーンブルク王女の名前は「アイリン」でした。