ファミコン『ドラクエ2』の誕生日に振り返る…プレイヤーをガックリさせた伝説の店売り“最強”装備「ミンクのコート」事件とはの画像
ファミコン『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(編集部撮影)
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 本日、1月26日はファミリーコンピュータ用ソフト『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』の誕生日でございます。初代『ドラクエ』の発売からたった8か月という恐ろしいスピード感で発売され、パーティシステムを採用した複数対複数の戦闘や、自分で動かせる船の登場による世界観の拡大など、短期間で作られたものとは思えないほどの超パワーアップを遂げて生まれた作品です。みなさんもさまざまな思い出があるのではないでしょうか。

 ということで今回は、『ドラクエ2』の36回目の誕生日のこの機会に、同作の中で一番思い出に残っている、また「RPGの教訓」的存在でもある「ミンクのコート」について私ヤマグチクエストが綴っていこうかと思います。

■あまりのスピード発売でテストプレイが間に合わず…悲しすぎる「最強装備」

 先ほど、恐ろしいスピード感で発売されたと書いた『ドラクエ2』。8か月でRPGを開発して発売するというのは正直えげつないことで、後にスパイク・チュンソフトの会長を務める中村光一さんが「通したテストプレイができなかった」と振り返るほど、過酷なスケジュールであったそうです。

 発売まで時間をかけてもいいから「ちゃんとバランス調整してから出してほしい」という人もいらっしゃるでしょうし、逆に「遊べるなら早く出してほしい」という人もいるでしょう。どちらにせよ、進行不可能・クリア不能になるような致命的なエラーがない時点で、当時の開発チームがおそろしく優秀な人材の集まりだったことが分かります。いまやネットで語り継がれている伝説のバグ武器「はかぶさのけん」はご愛敬ということで。

 さて、そんな『ドラクエ2』ですが、シリーズのなかでもかなりシビアな難易度であることでも知られています。こんな序盤にこの攻撃力の敵が4体出てくることあんの!? と驚かされたマンドリル・リザードフライ。過酷なダンジョンを超えた先にいるザラキ連打のブリザード。などなど、とくに雑魚モンスターが「全然雑魚じゃない」ことが、難易度の高さにつながっているとは思いますが、そのバランスの悪さに拍車をかけているのが「なんか物足りない装備品」の数々です。

 なかでも、きんのかぎを使って入れる地下の町・ペルポイで購入できる「ミンクのコート」の「強気すぎる価格設定」はあまりにも有名。

 ファミコン版の『ドラクエ2』では所持できるゴールドの上限が65535Gだったのに対し、ミンクのコートの価格はなんと65000G。『ドラクエ2』では貴重だった回復手段でもある超強力な盾の「ちからのたて」が21500Gなので、パーティメンバー全員分のちからのたてを買うよりも500G高いのがミンクのコートという計算です。高すぎる。

 こんな高い防具が弱いわけがない。なんてロマンのある防具なんだ。と胸をときめかせたプレイヤーも多いのではないでしょうか。かくいう僕も、このミンクのコートをムーンブルク王女に着せてあげたい、という一心でお金を集めました。

 当時のファミコン版では、後半ほとんどお金を使わなくなるとは言っても、死にまくるので本当に金策がきつく、65000G貯めるのに本当に1か月くらい、学校から帰ってきてずっとモンスターを倒しまくってようやく貯めた思い出があります。正直、効率の良い狩場も知らなかったし、ドロップアイテムを売ってお金にするという脳も当時はありませんでした。せっせとドラゴンが居並ぶロンダルキアへの洞窟内で狩りをしていました。

 レベルはもうとっくにカンストしていたし、クリア後の全く意味のない趣味でしたが、「買ってみたい」という気持ちだけで続けていました。RPGのクリア後のレベル上げってなんで面白いんですかね。とくにドラクエはそれが異常に楽しい気がします。

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