展開に不必要だった?クライマックスへの巧妙なフラグ?さまざまな事情でいつの間にか消えた…人気漫画のヒロインたちの画像
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 少年漫画における物語の清涼剤であるヒロインたち。努力を続ける主人公のモチベーションとして、ときに彼女たちは重要なポジションで活躍する。しかし彼女たちの中には、序盤では唯一無二の存在感を放っていたものの、物語が進むにつれてどんどん出番が少なくなり、いつの間にやらめっきり登場しなくなってしまうようなヒロインもいる。

 その背景にある事情はさまざま。今回はそんな「消えたヒロイン」たちに注目してみたい。

 まずは、許斐剛氏によるテニス漫画『テニスの王子様』に登場する竜崎桜乃。青学男子テニス部監督の孫である彼女は第1話から登場しており、電車内で因縁をつけられたところを主人公の越前リョーマに助けられるという、「いかにもラブコメ」な出会いを果たしている。

 しかし本作が女性読者から圧倒的な支持を集めたことが原因のひとつか、物語は試合や部員同士のやりとりが主なものになり、彼女の出番はどんどん減ってしまった。

 2021年に公開された3DCG映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』では、桜乃の出演時間も長く、リョーマとのデュエットも披露するというヒロインぶりを見せているが、なかなか出番の機会を与えられないキャラクターのひとりだ。

 似た例では、ほったゆみ氏原作、小畑健氏作画による囲碁漫画『ヒカルの碁』で主人公・進藤ヒカルの幼なじみである藤崎あかりもそうだろう。

 彼女は第1話でヒカルが藤原佐為に出会うきっかけとなるお蔵の宝探しにつき合っている上、ヒカルについて行って囲碁も始めた。このままヒロイン街道まっしぐらかと思いきや、ヒカルがプロ入りを目指したことで出番がどんどん減り、次第に女性キャラの中では日本棋院所属の院生の奈瀬明日美のほうがヒロインのような扱いになっていった。

 このように、主人公の目指しているものの規模が大きくなり、結果ヒロインの出番がなくなってしまうというパターンは少年漫画では珍しくないのかもしれない。

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