■シュールな漫画も…幅広いジャンルにワクワク

 1992年から2000年まで長期連載された彩花みん氏の『赤ずきんチャチャ』は、ファンタジーな世界を描いたドタバタコメディだ。

 チャーミングな魔法使いの少女・チャチャと、狼男のリーヤをはじめとする個性豊かなキャラたちが繰り広げるドタバタな日常には、毎回ワクワクさせられた。

 本作は1994年にテレビアニメ化を果たしているが、アニメではチャチャが変身して敵と戦う“変身魔法もの”要素が追加され、別視点でも楽しめる作品になっている。

 また、1994年から連載が開始された小花美穂氏の『こどものおもちゃ』も、人気を博した。

 学級崩壊や離婚、少年犯罪などさまざまな社会問題についても触れられており、小中学生向け雑誌である『りぼん』のなかでは珍しいシリアスなシーンも描かれていた。

 子役として活動しながら小学校に通う主人公・倉田紗南が、持ち前の明るさと強さでさまざまな問題を切り抜けていく姿に勇気をもらった“りぼんっ子”も多いだろう。

 

 上記に挙げた作品だけでも、1994年という“黄金期”の『りぼん』は名作揃いであることがわかる。ギャグ漫画から純愛のラブストーリー、少し大人でシリアスな作品と幅広いジャンルで描かれている名作たち。

 冒頭で紹介した『特別展 りぼん 250万りぼんっ子大増刊号』では、ほかにも、池野恋氏の『ときめきトゥナイト』、一条ゆかり氏の『有閑倶楽部』、水沢めぐみ氏の『姫ちゃんのリボン』、椎名あゆみ氏の『ベイビィ★LOVE』、柊あおい氏の『星の瞳のシルエット』……なども展示されており、ここで紹介しきれなかった名作も多くある。

 現代の『りぼん』とはまた一味違った魅力が“黄金期”の『りぼん』にはあり、かつて本誌を拝読していた“りぼんっ子”である筆者も、1994年の名作を振り返って懐かしさでいっぱいになった次第だ。

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