『天使なんかじゃない』や『ママレード・ボーイ』も…1994年の『りぼん』がすごかった! かつての少女たちを魅了した名作たちを振り返るの画像
「特別展 りぼん」公式ビジュアル
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 1955年に創刊された『りぼん』(集英社)は、小中学生向けの少女漫画雑誌として現在も愛されている。数々の名作が生まれた本誌だが、1993年末には過去最高発行部数の255万部を記録し、1994年は“黄金期”と称されるほど名作揃いの年となっている。

 近年では、“黄金期”1994年の連載作品をメインにした『特別展 りぼん 250万りぼんっ子大増刊号』が2019年から2021年にかけて全国で開催され、かつて“りぼんっ子”だったファンが当時の思い出を懐かしんでいた。

 今回はそんな“りぼんっ子”たちにとって懐かしの名作を、“黄金期”である1994年に連載されていた作品のなかから紹介していこう。

■『ちびまる子ちゃん』『ルナティック雑技団』などコメディ要素のある作品も人気だった

 まずは、さくらももこ氏原作の『ちびまる子ちゃん』。

 1986年から1996年にかけて、『りぼん』でレギュラー連載されていた本作。作者の投影である“ちびまる子ちゃん”の日常を描いたほのぼのコメディ作品で、1990年から放送が開始されたテレビアニメは令和の現在においても、お茶の間を楽しませてくれている。

 個性豊かなキャラたちのくすりと笑えてときどき泣けるエピソードの数々は、子どもから大人まで幅広い世代に愛されており、さくら氏亡きあとも彼女のアシスタントを長年務めた小萩ぼたん氏が作画を担当し、新作漫画が2019年から再び不定期で連載されている。

 “黄金期”の『りぼん』では、本作のようなコメディ漫画やギャグ漫画も多く連載されており、岡田あーみん氏の『ルナティック雑技団』や、茶畑るり氏の『へそで茶をわかす』にもおおいに笑わせてもらったものだ。

■矢沢あい氏、吉住渉氏の“王道少女漫画”も続々登場

 1991年から1994年に連載された、矢沢あい氏による『天使なんかじゃない』も、“黄金期”の『りぼん』を支えた名作の1つだろう。

 創立されたばかりの高校生徒会を舞台にリアルな恋愛模様や友情物語が描かれており、数々の名言や名シーンが残されていることでも有名だ。『天ない』と略称で呼ばれる本作は矢沢氏の出世作とも言われ、著名人にも本作のファンを公言している人は多い。

 また、この時期には吉住渉氏による『ママレード・ボーイ』も連載されていた。

 ひとつ屋根の下、突然美少年と同居することになるストーリーで、主人公の光希と遊の恋の行方をドキドキしながら見守るのが当時の“りぼんっ子”たちの楽しみだった。

 1992年から1995年まで連載された本作は、テレビアニメや実写映画化だけに留まらず、台湾でもドラマ化を果たしており、言わずと知れた日本の少女漫画を代表する人気作品だろう。

 このように王道の少女漫画が続々と登場したのも、1994年頃の『りぼん』の特徴だったと思う。

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