お気に入りのゲームソフトを楽しくプレイしていたのに、攻略が難しくてそれ以上先に進めなくなってしまう、いわゆる「詰み」の状態に陥ってしまったことがある人は少なくないだろう。将棋を由来とするこの言葉だが、本来の語意に即して言えば「詰み」はそのまま「負け」を意味する。しかし、詰んでしまったからといってただそこでやめてしまうのも悔しい……どうにかしてクリアできないか攻略法を調べたり試行錯誤してみたりと、ゲームが好きであればあるほど足掻いてしまうもので、それもまたゲームの醍醐味のひとつと言えるかもしれない。
とはいえ、近年のゲームは、従来よりもユーザーフレンドリーであることが求められるため、ファミコン時代のように難易度が理不尽だったり、明らかにゲームバランスがおかしかったりするようなことは減ってきている。しかし、それでもゲームが一定の条件を設定してそれをクリアすることを目的とする以上は、今もなお「詰む」場面に出くわす可能性は充分にある。
この記事では、誰もが思わず「詰んだ」と困惑してしまった経験があるに違いない、名作ゲームの「超難易度」シーンをピックアップして紹介する。どうして「詰んで」しまうのか、どうすれば負のループから抜け出せるのか、過去の歴史から学ぶことで、まだ見ぬ新たな「詰み」に対処する心構えができるかもしれない。
■安易なセーブが命取り!? 悪夢の3連戦で詰みの罠にハマる
まずは、1997年にスクウェアから発売されたプレイステーション用シミュレーションRPG『ファイナルファンタジー タクティクス』(通称FFT)だ。同作では、Chapter3「リオファネス城」でのイベントバトル3連戦がとにかく過酷だった。
中でも2戦目のウィーグラフ戦は、作中では初めて敵との一騎打ちとなるため、それまでに主人公のラムザを充分に育成していないと確実に詰んでしまう。しかもかなりの強敵のため、生半可な育成では勝つのは困難。筆者も最初は「これは負けバトル(負けることが最初から組み込まれていて、敗北の確定によりストーリーが進行するバトル)なのか?」と思ったものだ。
ウィーグラフに勝つためにはレベル上げやアビリティの整備が必須となるが、戦闘ごとにセーブができるという本来なら便利な仕様が、ここでは逆に仇となってしまう。1戦目の終了後に、それまでの流れからつい習慣的にセーブしてしまうのだが、セーブするとマップに戻ることができないため、いったん仕切り直してレベル上げやアビリティを獲得したいと思っても不可能で、それ以前のセーブデータがない場合はここから先に進めなくなってしまう可能性があるという最大の詰みポイントなのだ。
そのため、ひたすらウィーグラフに挑み続けるも攻略できず、泣く泣く初めからプレイし直したりしたプレイヤーも多いのではないだろうか。なお、追加要素が加わった移植版『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』(2007年/プレイステーション・ポータブル用)では一部戦闘バランスも緩和されているが、それでもなお難易度が厳しい作品ということは今でも語り草となっている。
■凶悪なカウンターと若本ボイスの圧倒的存在感!? シリーズ屈指の不条理キャラが初登場
次に挙げたいのが、2002年発売のPS2用RPG『テイルズ オブ デスティニー2』(以下TOD2)で初登場し、以降のシリーズ作品でも幾度となくゲスト登場した人気キャラ「バルバトス・ゲーティア」だ。
TOD2ではシナリオ上のメインボスとして序盤から登場し、初戦闘ではやはり負けイベントかとすら思える圧倒的な戦闘力に戦慄を覚えたものだ。さらに、声優を務めた若本規夫による、絶大なインパクトのあるセリフの数々も、バルバトスがプレイヤーの誰もが忘れられないほど強い印象を残すキャラクターとなったことに大きく貢献していたのではないだろうか。
数々のカウンター技を持ち、特徴的すぎる若本ボイスで「アイテムなぞ使ってんじゃねえ!」「回復晶術だと?貧弱すぎるわ!」といったセリフを言い放ちながら回復行動にすら追い打ちをかけてくるバトルスタイルは当時としては新鮮で、仲間のAI設定や術を使わない戦闘方法など、あれこれ試行錯誤させてくれた思い出深い敵キャラだ。