■ニュータイプを部品として取り込む「サイコミュ・ダクト」
最後に紹介するのは「機動新世紀ガンダムX」で登場した「サイコミュ・ダクト」だ。超大型ニュータイプ専用モビルアーマー「パトゥーリア」の操縦システムで、ニュータイプが機体制御のための生体部品としてカプセルに入る必要がある。作中では、主人公ガロード・ランに撃たれて重傷を負っていた人工ニュータイプのカリス・ノーティラスが無理やり乗せられている。
パトゥーリアは全長617m、重量3万8800tもあり、30基の有線ビーム砲と荷粒子砲を装備。フォートセバーン市を一瞬で廃墟に変えてしまったが、制御システムであるサイコミュ・ダクトは、接続している人間の精神と同化してしまう危険性があった。カリスは「僕の心が消えてゆく…」と自身の精神が徐々に取り込まれていることに抵抗していたが、徐々に目が虚ろになっていた。
サイコミュ・ダクトは、ニュータイプを生体部品として使い捨てにすることを前提とした兵器になっており、カリスはガロードたちによって助け出されたために難を逃れたが、長期戦になっていた場合は精神崩壊していたであろう。
今回は紹介できなかったが、『新機動戦記ガンダムW』で登場した「ゼロシステム」や、漫画『機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』に出てくる「n_i_t_r_o」などもパイロットを廃人に追い込む可能性があるシステムだ。パイロットを駒として使う戦争の悲惨さをまざまざと見せつけられる思いである。