■「まだあわてるような時間じゃない」一言でチームを落ち着かせるカリスマ性

 仙道の名言として有名な「まだあわてるような時間じゃない」。これはコミックス第19巻で描かれたインターハイ予選で、湘北との試合中に彼が発したセリフだ。

 陵南高校の要でもあるキャプテン・魚住純が4ファウルでいったんベンチに下がり、あっという間に形勢逆転。徐々に湘北との点差が広がっていき、陵南高校の選手たちは残り10分という短い試合時間に焦りを感じ始めていた。

 そんなメンバーたちの姿を見て、仙道が言ったのが上記のセリフだ。まず1本落ち着いて決めようと言う彼の言葉によって、メンバーは落ち着きを取り戻す。

 誰もが焦ってしまうような状況でも、冷静に戦況を見据えて声をかけることができる仙道。抜群のカリスマ性を感じるのはもちろん、試合の流れを読み、仲間たちの心の状態まで察しているようにも思える。ここぞというときにこの言葉を投げかけることができる彼のこの精神力の高さには、大物感を感じざるをえない。

■重要な局面でもサボって釣りをする図太さ

 仙道は遅刻癖もあるが、実はサボり癖もなかなかのものだ。趣味が海釣りという仙道は、なんと3年生が引退の挨拶をしに来る日でさえも、練習をサボって釣りをしていた。

 それでも許されてしまうほどの実力を持っており、不思議とイヤミに映らないのも仙道の大物たる所以なわけだが、3年生引退後に新キャプテンとなってからもこの態度は変わらなかったようだ。

 井上氏が後日談として描き下ろした伝説の黒板漫画『SLAM DUNK 10 DAYS AFTER』では、毎日釣りに明け暮れる仙道を見て、彼のキャプテンとしての素質を認めていた魚住ですら「そんなに魚が好きなら……俺とかわれ!! そして俺がキャプテン続投」と、本音を叫んでしまう一幕も……。また、田岡監督も思わずキャプテン交代を検討しているほどだった……。

 もしかしたら、彼は優れた選手とのマッチアップや、危機感を覚えるような局面などでしか本気を出さないのかもしれない。やるときはやる男というのが仙道の魅力ではあるものの、キャプテンを任された身でも態度を変えないとは……やはり「大物」という表現しか思い浮かばない。

 

 作中屈指の“天才”プレイヤーである仙道。彼はそのポテンシャルの高さと、チャーミングな一面も相まって、ファンからの人気も高い。

 敵ながら主人公・桜木のいる湘北高校の選手を大きく成長させるきっかけをくれた彼は、競技面だけでなくプライベートな部分でも節々で大物感が滲み出ているキャラクターだと思う。

  1. 1
  2. 2