井上雄彦氏による『SLAM DUNK』は、日本にバスケブームを巻き起こした人気作品だ。1990年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された本作は、1996年の連載終了後もその人気は留まるところを知らない。
約25年の時を経て2022年12月3日に公開された映画『THE FIRST SLAM DUNK』の影響もあり“スラダン熱”が再燃している今、類い希なる才能を持つ魅力的なキャラが多々登場する本作のなかでも“天才”と称され、ファンからも人気が高い陵南高校の仙道彰について、彼がそう言われる大物エピソードを紹介したい。
■敵チームの選手にも的確なアドバイス! 洞察力の高さは随一
仙道と言えば、的確な分析に定評があるキャラクターだ。自称“天才”としてがむしゃらなバスケを繰り広げる桜木花道を見て、初心者である彼の才能をいち早く見出し、その成長ぶりをたびたび評価して一目置く様子を見せている。
さらに流川楓に対しても、彼のプレー上の欠点を的確に指摘していた仙道。「1対1もオフェンスの選択肢の一つにすぎねぇ それがわからねえうちは おめーには負ける気がしねぇ」と発言。のちに流川は物語の最終局面である高校王者の山王工業戦の際、このアドバイスを思い出し、一皮むけることになるのだ。
誰も気づいていないような些細なことでも、いち早く気づくことができる仙道。ゲームを正確に判断し分析する洞察力の高さからも、大物感を感じることができる。
■屈託のない顔で「寝坊です」と宣言する大物感
仙道と言えば、ルーズでマイペースで遅刻癖があるのも特徴的だ。
彼の遅刻癖は、初登場時から発揮されていた。コミックス第3巻で湘北高校の練習試合に遅刻した仙道。陵南の田岡監督は「コラァーーッ この馬鹿者!!!」と怒り心頭で「今までいったい何をしとったんじゃあ 仙道!!!」と詰め寄っていく。しかし、「すいません 先生」「寝坊です」と、屈託のない笑顔を見せる仙道の様子に、思わず田岡も言葉を詰まらせ、「堂々と言いおって 怒る気がなくなるわ」と、諦めを見せる始末であった。
とはいえ、彼は入学時の公式デビュー戦で、たった1人で47点も得点を取ったほどの実力を持つスター選手だ。チームにとって重要な選手であることは間違いない。
神奈川ナンバーワンと称される海南大附属高校キャプテン・牧には、“気まぐれ”と言われていた仙道だが、その反面、“やるときゃやる男”とも賞賛されている。
大切な局面では遅刻しないでほしいのが皆の本音だとは思うが、それでも試合では相変わらずの大活躍を見せチームに貢献してしまうのが、彼のすごいところだと思う。