■10歳にして出生の秘密を知らされ…『家なき子レミ』
最後に紹介するのは、1996年から全26話が放送された『家なき子レミ』だ。本作は、フランスの小説家であるエクトル・マロ(エクトール・アンリ・マロ)の『家なき子』が原作。
フランスの田舎町に住んでいる明るくて元気な少女・レミは、母と妹とともに穏やかに暮らしていた。しかし、10歳になったある日、出稼ぎに出ていた父・ジェロームに養子であることを伝えられ、人買いに売られそうになってしまう。
ジェロームはレミが高価な産着を身につけていたため、「大金持ちの子どもに違いない」と礼金目当てで彼女を拾ったにすぎず、彼女に対して愛情を持っていなかった。そのため、生活が苦しくなった状況で、レミを人買いへ売ることを企ててしまうのだ。
絶体絶命のレミだったが、偶然出会った旅芸人の団長・ヴィタリスが彼女の歌声を気に入ったことで彼に拾われ、“本当の母親”を探しながら旅をすることになる。
幼いころに捨てられてしまうという悲しい境遇のレミ。彼女の養母となったアンヌの優しさと自分を慕ってくれる妹の存在もあってそれなりに幸せだったものの、ある日突然出生の秘密を知らされて、つらい仕打ちを受けることになるのだ。
幸運な偶然が重なり、旅芸人として再び拾われることになるレミだが、まだ幼い少女が父親だと思っていた人物に売られそうになるという展開は、当時、子どもながらに驚き、胸が痛くなったことを覚えている。紆余曲折あったものの、そのあとの彼女の人生が幸福だったことが、せめてもの救いだ。
悲しい境遇に身を置くこれらの作品の主人公たち。孤児であったり、人身売買に晒されたり……と、つらい境遇に置かれながらも懸命に前を向いていた彼らの姿は、幼い子どもたちだけでなく大人たちにも感動を与えただろう。
『世界名作劇場』では上記に挙げた作品以外にも名作が多い。ぜひ懐かしの名作たちを見直してみてはいかがだろうか。