■“カリスマ女帝”を体現したような名セリフ

 最初に紹介するのは、『機動戦士Zガンダム』第47話「宇宙の渦」でカミーユ・ビダンとの戦闘中にハマーンが口にした名セリフだ。

 強力なニュータイプ同士であるハマーンとカミーユは戦闘中、意思が感応を起こし、互いの記憶を垣間見ることとなった。ハマーンは、過去に憧れを抱いていたクワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)との思い出、カミーユは亡き母との幼少期の記憶を意思の中に見る。

 ニュータイプ同士、一瞬わかり合えそうになるのだが、ハマーンはそれを「きやすいな」と一蹴。そして、「よくもずけずけと人の中に入る。恥を知れ、俗物」と激昂した。

 それもそのはず。第43話「ハマーンの嘲笑」では、コロニーレーザーを破壊して欲しいと頼むクワトロに高圧的な態度をとり、サングラスを外させ、頭を下げさせていた。その様子を見ていたカミーユから、記憶の中のクワトロとの思い出を覗かれてしまったのだから激昂もする。

 しかし、「恥を知れ、俗物」などとは、どんなに怒り狂っても一般人の口から飛び出すことはないだろう。まさしくカリスマ女帝、ハマーン様にふさわしい名セリフと言っていい。

■ハマーンの真意は…? と思える名セリフ

 続いても『機動戦士Zガンダム』から。最終話「宇宙を駆ける」でハマーンが発した名セリフを紹介したい。クワトロ、ハマーン、そしてパプテマス・シロッコという、宇宙世紀に名を残す大物たちが一堂に会した際に出た言葉だ。

 シロッコ自身が「歴史の立会人」と言っていたように、この3人がグリプス戦役末期に顔を合わせ、銃を突きつけて話し合いをするというのは、重大な歴史の転換点と言える。ハマーンはその場で、ザビ家の再興に手を貸し、その上で世界を変えろとクワトロに訴えた。しかし、クワトロはこれを拒否し、「また同じ過ちを繰り返すと気づかんのか」とハマーンのザビ家再興を完全否定した。

 そのクワトロに対し、ハマーンが言い放ったのが「世界の都合というものを洞察できない男は、排除すべきだ」という名セリフ。前述の通り、ハマーンは過去にクワトロに対して憧れを抱いていた。本心では自分のもとに戻って欲しいという怒りの表れともとれる言葉であったが、さすが女帝の言い回しというほかない。

 政治的な側面からも、復縁を迫り失敗した口上としても、名言すぎるセリフである。

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