■児童書から飛び出したガキ大将「はっちゃく」
ガキ大将といえば横暴でいじめっ子が多いイメージだが、「弱きを助け強きをくじく」そんな「任侠」精神を持つ小学生・桜間長太郎の活躍を描いたのが『あばれはっちゃくシリーズ』である。
同シリーズは『よみうり少年少女新聞』で連載されていた児童向け小説『あばれはっちゃく』が原作。主人公のはっちゃくは勉強はダメだが「ひらめき」だけは最高によく、困ったときには逆立ちなどをして戦術をねっている。読者のなかにも、親に叱られたり勉強が嫌なときなど逆立ちやブリッジを、自信がない人は座禅をしながら「ひらめいた!」と叫んだのではないだろうか。
1979年(昭和54年)の『俺はあばれはっちゃく』から1985年(昭和60年)の『逆転あばれはっちゃく』まで5作品が放映された。シリーズごとに父親の職業が大工やシェフなど設定が変わるのは『ケンちゃんシリーズ』と同じだが、主人公「はっちゃく」を演じる子役もそのたびごとに交代している。そのため「私にとってのはっちゃくは2代目」「自分は4代目だった」など、人により「はっちゃく」が違うのかもしれない。
ちなみに、担任の先生は新作ごとに名前は変わるが、シリーズを通して日活青春スターの山内賢さんが演じていた。
昭和の時代、ブラウン管の向こう側で自分と同じ子どもが大人顔負けの活躍をしていた。魔法や冒険、悪人退治に名推理など、非日常のできごとを体験する彼らに、テレビの前の私たちはドキドキしたりハラハラした。
令和の現在、動画配信などテレビを取り巻く環境は大きく変わってきたが、「私たちの分身」でもあった彼らの存在はこれからも楽しい思い出として残っていくことだろう。