■良家のお嬢様が狂気の女性へと変貌

 狂気を感じるほどの裏切りといえば『機動戦士Vガンダム』のカテジナ・ルースもそうだろう。彼女は地球の特別居住区ウーイッグに住んでいたルース商会の一人娘で、生活に関しては不自由なく暮らしていた。

 当初は、ウッソ・エヴィンのお姉さん的ポジションで描かれていたが、実際はウッソを「理想を押しつけるだけの子ども」として苦手意識を持っていた。ウーイッグが戦火に焼かれたことからザンスカール帝国に対抗するレジスタンス組織リガ・ミリティアと行動をともにするが、敵パイロットのクロノクル・アシャーと出会い、彼女自身の欲望・野心を満たすためにウッソたちと敵対する道を選ぶ。

 パイロットとして行動するうち、徐々に狂気を伴うようになり、最終決戦ではウッソとクロノクルを戦わせ「勝ったほうを全力で愛してあげる」と恐ろしい言葉を言い放っている。クロノクルはウッソに敗れ、自身の思い通りにならないウッソに対してカテジナも敗北を喫した。

 彼女はリガ・ミリティアに参加していたわけではないので組織に対する裏切りはしていないが、カテジナに憧れるウッソの気持ちを裏切ったことは間違いなく、その後の行動を見るとなかなか印象深いキャラクターといえる。

『ガンダム』シリーズにおいて裏切り行為は割と頻繁に見られる。宇宙世紀シリーズではエルピー・プルやプルツー、クェス・パラヤ。アナザーガンダムではアスラン・ザラや王留美などもそうだろう。しかし筆者個人は今回紹介した3人の裏切りが印象深い。

 ショッキングな展開も多いが、視聴者に強烈なインパクトを与える要素として、どこかで「裏切り」を楽しみにしている人も多いのではないだろうか。

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