22世紀からやってきた未来のネコ型ロボット『ドラえもん』。かつては夢と想像の世界でしかなかったドラえもんの世界だが、徐々に現実化しはじめているのをご存じだろうか。
たとえば、東京大学先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授は、“再帰性反射材”という特殊な素材を使用し、ひみつ道具「とうめいマント」のように実際に透けて見えるマントの開発に成功している。
そこで今回は、22世紀を待たずして(!?)実現しそうなひみつ道具を3つ紹介していく。
■夢で出てきた内容が映像化される日が来る!?「ユメテレビ」
コミックス15巻「ゆめのチャンネル」では、夢をテレビに映し出すひみつ道具「ユメテレビ」が登場し、のび太がジャイアンやスネ夫、しずかちゃんの夢を見る様子が描かれていたが、近い将来、なんと寝ている間に見ている夢を映像化できる日が来るかもしれない。
実際、2013年、国際電気通信基礎技術研究所が一部夢の可視化に成功している。脳の血流などを計測する「fMRI」という機械を使い、実際に寝ている人の脳内を読み取ってその内容を可視化させたのだ。
ただ、現時点では、本や車などおよそ20個のカテゴリーが夢に出てくるかどうかを判別するまでで、完全に映像化するまでは到達していないのだが。しかし、脳の活動状態と本人が脳内に描いた大量の情報を機械が学習できれば、夢の内容を再現できるだろうとも言われている。
夢を映像化できるようになれば、自分が見た夢を動画にして送り合ったり、もしかしたら、SNS上でシェアしてバズる日も来るかもしれない。また、精神疾患の改善に期待できるとも言われており、心のケアにも役立つという。このように夢を映像化させる未来は、もうそこまで近づきつつあるのだ。
■目の前に対象物がなくても五感で感じ取れるようになる!?「感覚モニター」
次に実現しそうなひみつ道具は、コミックス37巻「感覚モニター」の回で登場する「感覚モニター」である。
このひみつ道具は「感覚モニター」を自分がかぶって、「感覚送信アンテナ」を対象物に取り付ければ、対象物が見たり聞いたり感じたり味わったりした感覚がモニターに送られてまるで自身が体験しているかのように感じられるというもの。この優れたアイテムも、なんと近未来に実現するかもしれないという。
そもそも人間の感覚は視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚で構成されている。要は、この「五感」を機械で再現することができれば、このひみつ道具に限りなく近づくということ。
実際、視覚は遠隔地でのカメラで映像を撮って受信し、ヘッドマウントディスプレイで再現できているし、聴覚もマイクとスピーカーがあれば再現可能だ。
また、味覚については味を構成する「基本五味」(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)を感じさせる電解質を固めたゲルを舌に触れさせて電気をかけることで、それぞれのイオンが舌に触れる量を調整する研究が明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明教授によって開発されている。味の情報のみを届けることができるようになるため、移動せずに味の共有ができるようになるという。
嗅覚や触覚など再現がなかなか難しいものもあるが、現在、多くの大学や研究機関で研究が進められているようだ。近い将来、アニメやゲーム、ネットショッピングなども、移動せずに五感で味わえる日が来るかもしれない。