少年漫画で主人公たちの前に立ちはだかる強敵たち。見たこともなかった能力や必殺技、隠し持っていた変形、部下を使ったズル賢い作戦などなど、それぞれ“怖さ”の見せ方が違うが「異常なキレ方をする」ボスたちに恐ろしさを感じたことはないだろうか。
何がきっかけかも分からず、いきなりキレる彼ら。怒鳴ったり泣き喚いたり……周りから見れば異常とも思えるような「近づいたら危険」なヤバいオーラを振りまく悪役キャラを振り返りたい。
■血を見ると凶暴化「いてえよ~いてえよ~」
原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏による『北斗の拳』(集英社)は、キレキャラの宝庫と言っても過言ではない。
その代表格が、シンの部下で“拳法殺し”と呼ばれる脂肪に包まれた肉体を持つ巨漢・ハート。普段は温和な性格の持ち主で、部下がバーで暴れていた場面では厳しく制してバーの主人を助けている。これには主人も安心した様子で、ハートへ出す酒を快く準備をしていた。
だが次の瞬間、割れたグラスにハートがうっかり手を付き激変。手からほんの少し血が出ただけなのにもかかわらず、「いてえよ~いてえよ~!!」と叫び、主人の頭部を掌底ひとつで潰してしまったのだ。
これを見た部下は、「ま…またはじまった!!」「あの方は自分の血をみると正気をなくして殺人鬼になるんだ!!」と青ざめ、ハートを止めるために一斉にこん棒を投げつけた。しかし、ハートにはこん棒の攻撃など一切効かず。脂肪で衝撃を吸収するかのように受け止めると、反動を利用して部下に向かって投げ返した。
こうして部下は全滅……。ハートは「ふ~またやっちまった…あれほど血は嫌いだってのに…」と口にした。自分で部下を殺した上に新たな血も流しているので、血が嫌いならやらなければいいのにとも思ってしまうが、ニコニコ顔から急変するこれら数ページが恐ろしくてたまらない。巻き添えを食らって死んでしまった部下は、不幸としか言いようがないだろう。