■ブレックスの憤怒で飛び出した昭和な言葉
続いても『機動戦士Zガンダム』から。第3話「カプセルの中」における「なんと破廉恥な」というレトロなセリフである。ブレックス・フォーラはカミーユの母親がティターンズに人質に取られていることを知ると、軍隊のやることではないと憤怒し、このセリフを発した。シリアスなシーンで使われた言葉だが、「破廉恥」という単語はあまりに印象が強い。
永井豪氏の漫画『ハレンチ学園』のイメージが強いが、本来は恥ずべきことを平気でやってのける様を指す。現在ではなかなか聞くことのない、昭和レトロな単語である。
■プルらしい健気なレトロ語が時代を巡り…
最後に紹介するのは『機動戦士ガンダムZZ』第18話「ハマーンの黒い影」より、「胸がキュンキュンする。でも、とっても気持ちがいい」だ。このセリフは強化人間のエルピー・プルが、ジュドー・アーシタをニュータイプ的に感じたことで発せられた。
この後、プルはジュドーに会うため、居住ブロックへ走り出す。健気なプルと「キュンキュン」という胸のトキメキを表わした単語が、なんとも昭和ノスタルジーである。
数年前にSNSや動画配信サイトで「キュンです」という言葉とハンドサインが流行した。プルが時代の先駆けなのか、時代が巡っているのか。前述のハレンチという単語も、10代20代を中心に人気の高い、ちゃんみな氏の楽曲タイトルに使用されている。聞き慣れない単語が、逆に印象強くするのだろう。
昭和ロボットアニメの金字塔、『機動戦士ガンダム』作品にはまだまだ多くの昭和レトロを感じさせる名言が存在する。
セイラ・マスの名言「それでも男ですか。軟弱物!」もその一つだ。筆者は、パプテマス・シロッコの「墜ちろ。カトンボ!」を聞くと、「最近はトンボが減ったなぁ」(カトンボとトンボは別種であるが)としみじみ思ってしまう。
作品を見返す際は、昭和レトロを感じる名言を探し出すことも新しい楽しみ方かもしれない。