巷では、Z世代を中心に『レトロブーム』が起きているという。使い捨てカメラや、カセットテープ、レコード、純喫茶など「手間がかかる物」「ノスタルジックな物」がエモい(エモーショナル)とされているのだ。
今回は昭和ロボットアニメの金字塔『機動戦士ガンダム』シリーズから、「現在ではあまり聞かないな」と思ってしまう、昭和レトロ漂うセリフを紹介していく。ぜひ、しみじみとノスタルジーに浸っていただきたい。
■マチルダがアムロに言った懐かしい言葉
まず紹介するのは『機動戦士ガンダム』第9話「翔べ!ガンダム」より、マチルダ・アジャンの口から出た「あなたはエスパーかもしれない」だ。マチルダの初登場シーンであり、アムロ・レイを褒めた際に使った言葉である。
「ニュータイプ」のことを「エスパー」と言うのだが、この「エスパー」という単語が、なんとも昭和レトロでぐっとくる。令和の時代には超能力、スピリチュアルという単語が類義語になるが、超能力やオカルトブームが過ぎ去り、聞くことが少なくなった「エスパー」はノスタルジック溢れるレトロな言葉だろう。
余談ではあるが「エスパー」を冠した藤子・F・不二雄氏の漫画『エスパー魔美』がアニメ放送されたのは1987〜89年の昭和から平成にかけてである。
■セイラのセリフは“ノスタルジーの宝庫”
続いて紹介するのは、『機動戦士ガンダム』第40話「エルメスのララァ」から、セイラ・マスの「そうね。おセンチでちっとも飛んでないのにね。アムロって」。この回では、アムロの反応速度についてこられなくなったガンダムに対し、マグネットコーティングが施される。アムロが試運転を行っていると、セイラがやって来て声をかけた。その会話の際に発せられたのが、このセリフだ。
「おセンチ」とはセンチメンタルの略語であり、皮肉や感傷に浸ってばかりのアムロにはピッタリな言葉だろう。さすが、セイラである。現在では聞くことが皆無と言っていい、「おセンチ」という単語。セイラのセリフはノスタルジーな昭和レトロを存分に感じさせてくれる。
■カミーユへの暴力の合間にもレトロ単語
続いては『機動戦士Zガンダム』の第9話「新しい絆」より、「つべこべつべこべと。なぜごめんなさいと言えんのだ」である。ミーティングに遅刻したカミーユ・ビダンがウォン・リーに鉄拳で“修正”を食らうのだが、気絶するカミーユに対しウォンが吐き捨てるのがこのセリフだ。
大人が子供を暴力で説き伏せるというシーンも強烈ではあるが、それ以上に、「つべこべ」という単語が印象深い。あれこれ言い訳や文句を言う様を表わしているのだが、この単語も現在では聞くことや使われることの少ない、ノスタルジー溢れる単語と言えるだろう。