■まるで屋上のアトラクションのよう!? ジャンプする床

 デスタムーアの城のなかでもひと際目立って迷惑な仕掛けなのが、3Fにある“ジャンプする床”だ。方向を示した床を踏むとジャンプしてしまうのだが、なんの情報もないまま進むと驚いてしまう。城はこれより上の階もあるのだが、このフロアは天井がないのでまるで屋上のアトラクションのようだった。

 それにしても、なぜこのようなフロアを大魔王は作ったのだろうか。よくよく考えればこの城は強大な結界に守られている。大賢者の2人が揃ってようやく解放されたが、普段なら訪問者などいないはず。もしかしてモンスターたちの息抜きのために用意したとか? 大魔王とはいえ、部下のためにこういった仕組みを考えるとはまさに経営者(?)の鑑だ!

「ブースカ」や「ずしおうまる」たちが飛び跳ねて遊んでいる光景は、デスタムーアにとってほのぼのするものなのだろう……(いや怖すぎだろ!)。

■やっとたどり着いたボス戦! まさかの変身多発で耐久戦突入

 そうこうしながら、やっとたどり着いたボス戦。デスタムーアは空中に浮かんでいるヨボヨボの爺さんだ。長い白髭はなんだか仙人のようにも見える。

 しかし、このデスタムーア、実はとんでもなく強い。「念じボール」を投げつけてくるかと思えば、猛毒を吹きかけ、強烈な炎と冷気を伴う攻撃を仕掛けてきたりするため、耐性のない防具だとかなりツラい。しかも「めいそう」で、回復までしてくる。

 この状態のデスタムーアをなんとか倒すと、次は本気になったとばかりに第二形態のムキムキボディへと変身する。実際に自分のことを「じじい」と言っているのには笑えたが、勇者たちからしたらちっとも笑えない。この巨体から直接攻撃がより強力となっていくのだが、コイツは「バイキルト」で自身を強化したりしてくるのだ。

 肉弾戦を制すると、今度は最終形態である第三形態となって頭部と両手だけが残る。ここへ来ての3連戦はかなり厳しい。MPが残っていなかったりもする。

 全体攻撃の「おぞましいおたけび」、「メラゾーマ」に「こごえるふぶき」、「イオナズン」……勘弁してくれと思ったところに、まさかの究極の攻撃呪文「マダンテ」! しかも次のターンではMPを回復する特技を放つ。

 頭部だけでも強敵なのだが、両手がこれまたやっかいで、攻撃のほかにも「ベホマラー」に「ザオラル」、“ひだりて”に至っては「ザオリク」といった補助呪文も使いこなすのだ。

 それにコイツらは困ったことにグループではない。全体攻撃をしないと、徐々にこちらの体力が削られていくのだ。両手をほぼ同時に倒さないと、生き返ってしまう。もちろん頭部を先に倒しても蘇る可能性があるのだ。

 そんな耐久戦に、「いや、ボスを倒したら普通はエンディングでしょ……?」と思った人は少なくないはず。

 

 懐かしの「デスタムーアの城」の厳しさを思い返してみたが、それにしても、三段階に分かれて強くなり、最後は複数に分かれて回復はおろか蘇生までするボスって最強ではないか。ここまでたどり着くのも大変なデスタムーアの城は、まさに最難関といえるラスボス戦だった。

 スーパーファミコンで「ドラクエ6」をプレイした当時は高校を卒業したくらいの筆者だったが、今のように攻略サイトなどないのにいったいどうやって倒したのだろう。当時の自分に聞いてみたい心境となった。

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