■「宝探し」が楽しすぎてストーリーが進まない

 このお宝の何がすごいのかを話す前に、そもそもスピンオフ作品とはどういうものなのか。本編を知らず、それだけをプレイする人ももちろんいるとは思いますが、やはりメインであるタイトルを知っているファンのほうがより楽しめるようになっています。

 ドラクエでいえば、モンスターズシリーズではテリーとデュランの掛け合いや、強かったボスを仲間にできるワクワク感を楽しめたりしますよね。ああいう、メインのエピソードを知っているからこそ楽しめる要素というものが、スピンオフには欠かせません。

 先ほどカミュとマヤの手を伸ばしあうシーンで「11を思い出す」という話をしましたが、そういうファンの心をくすぐるような表現こそが、スピンオフの根幹だと私は思っています。

 さて、話は戻りまして、本作に登場するお宝は、ドラクエのナンバリングタイトルに出てくるものが登場するのですが、そのチョイスと小ネタが本当に素晴らしいんです。最初は訳も分からず集めていたのですが、鑑定して出てきたお宝を見たときに「あれ、このゲーム面白いぞ?」と完全にハマってしまいました。

 いくつか例を紹介してしまうと楽しみを奪ってしまうのでちょっとクスっと来たものだけを紹介しますと、「ロトのつるぎ」をもじった「トロロのつるぎ」や、ぱっと見違いが分からない「うーのかがみ」などなど、ダジャレのようなものもあれば「あー!そんなんあったなあ!なつかしい!」となるような小ネタも盛りだくさん。カミュとマヤの手を伸ばしあうシーンは間違いなく狙ってやっていたと、私はお宝探しの道中で確信しました。

 お宝さがしは、仲間モンスターとともに進めていきます。モンスターズシリーズとは異なり、プレイヤーが操作するカミュとマヤ自身が敵に攻撃できる一方、モンスターたちの攻撃は基本的に自動で行われる点が本作の特徴。戦略で立ち回るというより、アクションRPGのニュアンスが色濃い戦闘システムなので、操作の慣れが必要です。

 また、コンボやロマン技というモンスターごとに設定されている特殊必殺技などもありますが、戦闘後にモンスターを仲間にできる可能性があるのはモンスターズと同様にワクワクしますね。

 ただし、スカウト成功後に本拠地で特定のアイテムをあげないと仲間にはなってくれないので、モンスターの加入にも収集要素が絡んでいるのはやはり「トレジャーズ」といったところでしょうか。

 個人的には「このモンスター仲間にしたい!!!!」が目標になるので、好みのシステムでした。ただ、仲間モンスターの総数・種別が少ないのが残念。仲間モンスターですら「収集要素」として、やり込ませてくれてもよかったのにな、と思いましたが、モンスターズとの差別化を考えたときに、同じことをしたくなかったのだろうなという作り手のプライドというかジレンマのようなものもあったのでしょう。

 スライムに乗って高く飛んだり、ドラキーにつかまって滑空したり、シャドーと一緒に地中にもぐったり、といったモンスターとの連携で探索して宝探しするのがメインなので、この探索時に使える技がもっと多岐に渡って、パーティーの構成もたくさんの引き出しの中で入れ替えられたりすると、もっとやり込めたなあと思います。

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