2022年に誕生から40周年の節目を迎えた『マクロス』シリーズ。その初代である『超時空要塞マクロス』は1982年から1983年にかけてTBS系列でアニメ放送された作品だ。本格的かつスピード感あふれる戦闘シーンはもちろんのこと、当時のロボットアニメではほとんど取り上げられなかった「歌」と「恋愛」をシリーズのメインテーマとして掲げ、コアなアニメファンを中心に熱狂的な人気を集めた。
なかでも主人公の一条輝と、リン・ミンメイ、早瀬未沙の三角関係が話題を集め、ミンメイ派か未沙派かで当時のファンたちは熱い議論を戦わせた。
■リン・ミンメイ「地球を救った歌姫」となった少女
リン・ミンメイは横浜中華街の中華料理店の一人娘で、当時15歳の少女。超巨大宇宙戦艦マクロスの進宙式が行われる南アタリア島にある叔父の中華料理屋に遊びに来ていたところ、強襲してきた異星人との戦闘に巻き込まれてしまう。
緊急フォールド(ワープのようなもの)を行ったマクロスの巻き添えを食らったミンメイは、アマチュアパイロットだった一条輝とともにマクロス艦内の閉鎖空間に数日間閉じ込められ、救出される。それをきっかけに、マクロス艦内に作られた叔父の中華料理屋でウェイトレスとして働くことになった。
その後、マクロス内部にテレビ局が作られたことを記念して「ミス・マクロスコンテスト」が開催され、歌手になるのが夢だったミンメイはこれに参加。本命と思われていた映画スターを追い抜いて優勝してしまう。これがきっかけでミンメイは芸能界デビューを果たし、スーパーアイドルへの道を駆け上っていくことに。
地球人が交戦中の「ゼントラーディ」と呼ばれる異星人は強大な戦闘力を持つものの、地球人の持つ文化を恐れていることが判明する。それがわかったきっかけは、マクロスで流れていたミンメイの歌だった。
ゼントラーディの総攻撃に対しマクロスはミンメイの歌と映像を流しながら敵陣へ決死の突撃を敢行。ミンメイの歌により敵にショックを与え、その隙に敵の司令部をピンポイントで叩く作戦が成功し、勝利を収める。これが後に語り継がれる「ミンメイアタック」である。
地球を救った歌姫となったミンメイだったが、終戦後その人気は少しずつ凋落していった。そんなミンメイの頭によぎるのは一条輝の面影。ミンメイは輝の家に押しかけて泊まり込むなどの猛アタックを始めるが、輝の心は早瀬未沙に傾いており……。