普段温厚な人ほど怒るとものすごく怖いというのは、現実世界でもフィクションの世界でも一種の「あるある」だろう。その人にとって許せないラインを超えたが最後、彼らを怒らせた人間は痛い目を見ることになる。
今回の記事では、そんな“普段は優しいけどキレたら怖い”キャラのなかから、美青年キャラを3名ピックアップして紹介したい。それぞれの激しすぎるギャップを味わっていただけたら幸いである。
■過去の人格がよみがえる!?『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』緋村剣心
和月伸宏氏による『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』は、佐藤健主演の実写映画も話題となった人気作品だ。
本作の主人公・緋村剣心は、女性と間違われることもある中性的な美青年で、非常に温厚で優しい性格をしている。しかし、彼はかつて「人斬り抜刀斎」と呼ばれた伝説の人斬りで、圧倒的な強さで数多くの人間を殺してきた。
とある事件をきっかけに人斬りとしての過去を封印し、“不殺(ころさず)”を誓った剣心。普段はニコニコと穏やかなうえ、「おろ」という口癖のせいで少々間の抜けた印象もあるが、戦闘時には過去の面影が垣間見える。
彼がキリっとした顔であっという間に敵をなぎ倒していく姿は、通常時とのギャップも相まってカッコ良い。それでいて決して殺しはしないのだから、相当な腕前であることがうかがえる。
そんな彼は初期のころ、大切なものを傷つけられて激昂し、抜刀斎の人格をよみがえらせることがあった。その際には一人称が「拙者」から「俺」に変わり、普段の“ござる口調”も使わなくなる。性格は冷徹で好戦的になり、たとえば薫が人質にとられたときには、敵に「殺してやるからさっさとかかってこい」「俺が殺すと言った以上 お前の死は絶対だ」など、いつもの姿からは想像もつかないほど物騒なセリフを言い放っていた。もしも薫が止めなければ、本当に相手を殺していたかもしれない。
普段の剣心はいかにも優男で癒し系だからこそ、抜刀斎モードのときの恐ろしさにはゾクゾクさせられてしまう。その裏に隠された過去については本作でも丁寧に描かれているので、ぜひ確かめてみてほしいところだ。
■卑劣な相手には一切容赦しない!『幽☆遊☆白書』蔵馬
Netflixでの実写シリーズ化が発表され、今、あらためて注目を集めている冨樫義博氏の『幽☆遊☆白書』。
本作に登場する人気キャラ・蔵馬もまた、物腰柔らかで心優しい人物だ。見目麗しく長髪であることから、女性と勘違いされることもしばしば。ちなみに本人はけっこう気にしているようで、女性扱いされるたびにムッとしている。
蔵馬は自身の妖力で植物を操ることができ、「薔薇棘鞭刃(ローズ・ウィップ)」などの武器を使うため、なんだか優雅な印象がある。基本的に争いを好まず、必要のない殺生はしないタイプだが、だからといって油断してはならない。
今はわけあって人間・南野秀一としてまっとうな生き方をしているが、そんな彼の正体は魔界でも名を知られた妖狐なのだ。本来は極悪非道で至極冷酷……ふとしたときにその片鱗を見せることも少なくない。
蔵馬は卑劣な手段を取る敵や下衆な敵にはまったく容赦せず、相手が命乞いをしようと「死ね」とあっさり殺したり、不死身の相手に死以上の苦痛を与えたりしている。その際、表情はいつでも淡々としていて、一切のためらいも感じられない。それどころか笑みを浮かべることすらあるのだから恐ろしい……。
そんな姿を見ていると、たまに「本当に少年漫画の味方サイドか?」と本気で戸惑ってしまう。なんにせよ、絶対に敵に回したくない人物である。