■愛を否定した悲劇の”ビデオガール”『電影少女』神尾まい

 1989年より連載開始した桂正和氏の『電影少女』は、”ビデオガール”と呼ばれる少女たちと人間の恋愛を題材としたSF恋愛漫画だ。ビデオから実体化した少女たちと、彼女らの助けを必要とする少年たちの恋愛模様を、美麗な絵柄で大胆に表現した作品である。

 作中に登場する神尾まいも”ビデオガール”の一人で、「元気を出して♡」というタイトルのビデオから再生された。前髪を切り揃えた長いストレートの黒髪と、どこか幼げな表情が可愛らしい女性である。

 神尾まいは登場人物の一人・松井直人によって再生され、当初は盲目的に彼の要望を叶えていた。しかし、好きだった女性にふられたショックから精神が衰弱していた松井は、一週間彼女を監禁し、さまざまな仕打ちにより彼女を壊しかけてしまう。

 さらに彼女は、本作の重要人物・ローレックに改造を施され、サディスティックな性格へと変貌。最終的には本作のヒロインである”ビデオガール”・天野あいを抹殺するために動き出すというダークな展開になっていく。

 あいと激闘を繰り広げるも、最後は敗北し「消えたくない」という感情とともに消滅してしまう……。無垢でありながら、常に誰かの悪意に振り回され続けたなんとも物悲しい女性キャラクターである。

 

 一般的に“黒髪ストレートの女性”…といえば、上品で気品があるイメージを抱くかもしれないが、今回紹介したキャラクターたちはそれぞれ背景は違えど、どこか“ミステリアスな女性”として作中で描かれている。

 見た目通りの美貌はもちろんだが、それをバトルに利用したり、砕けた性格でギャップを見せたりと、各々の「オリジナル」な魅力を作中で存分に発揮している。今後も黒髪ストレートキャラから目が離せない。

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