『うしおととら』『寄生獣』『金色のガッシュ!!』人間と最高の“相棒”になったキャラ3選!種族を越えた絆にファンも感涙の画像
アフタヌーンKC『寄生獣』第1巻(講談社)

「相棒」と聞いてどんな二人をイメージするだろうか。文字通り刑事ドラマ『相棒』に登場する特命係の杉下右京と亀山薫や、アニメなら『TIGER&BUNNY』のワイルドタイガーこと鏑木・T・虎徹とバーナビー・ブルックスJr.が有名だろう。

 ヤンキー漫画を見渡せば『東京リベンジャーズ』の花垣武道と松野千冬、『今日から俺は!!』の三橋貴志と伊藤真司。スポ―ツ漫画を読めば『キャプテン翼』の大空翼と岬太郎、『ハイキュー!!』阿吽コンビの及川徹と岩泉一。ハードボイルドの世界でも『サンクチュアリ』の北条彰と浅見千秋、『シティーハンター』の冴羽獠と槇村香……などなど数えあげたらキリがない。

 だが、こうした「人間同士の相棒」以外に、漫画やアニメでは「異形・人外キャラの相棒」が数多く存在する。彼らは種族や価値観の違いを乗り越えたことにより、ついには互いが「最高の相棒」となり大きな感動を生む。そこで今回は、筆者が特に印象に残った3組を紹介する。

■魔物の子と人間の少年が築いた友情と信頼の物語

 2001年より『週刊少年サンデー』で連載されていた雷句誠氏の『金色のガッシュ!!』は、熱い戦いと泣かせる物語としても知られる長編漫画だ。記憶喪失の魔物の子どもガッシュ・ベルが、天才少年・高嶺清麿とともに「やさしい王様」を目指す物語。

 清麿は頭が良すぎて周囲から浮いてしまう孤独な中学生だったが、そんな彼のもとにやってきたのが常識が通じず破天荒な子どもガッシュだ。当初は素っ気ない態度の清麿であったが、ガッシュの真っ直ぐな言葉と行動により清麿は以前の明るさを取り戻し、ともに戦う覚悟を決める。

 二人は最高の「相棒」として魔界の王位争奪戦に挑むことになるが、対戦する相手もそれぞれの事情や願いがあり、そんな彼らの想いも背負いながらガッシュと清麿は過酷な戦いを勝ち進んでいく。

 本作では「魔物の子」とその本の持ち主である「人間」との間に生まれた、さまざまな形の「絆」が描かれている。たとえば最愛の女性・リィエンを守るため盾となったウォンレイの雄姿、テッドとジードが作中で見せた「熱い絆」が読者の涙腺を何度も緩ませてしまうのだ。ちなみに筆者はキッドとナゾナゾ博士のエピソードでは号泣し通しだ。

 また、お調子者キャラとして描かれるパルコ・フォルゴレと弱虫なキャンチョメコンビは心に響くエピソードが多い。特にフォルゴレが過去の己を悔やみ、自身をライオンではなく「私はいつだってカバさんだった」と喩えたセリフは今なおファンの心を揺さぶる名言だ。

 2022年3月から同作の続編となる『金色のガッシュ!!2』が電子書籍として配信されている。本作は前回の戦いから15年後を舞台に、成長したガッシュや清麿たちの雄姿を読むことができたと多くのファンを喜ばせ、更新直後にはSNSのトレンドにキーワードが並ぶなど人気は今なお健在だ。

■極悪非道の妖怪と「獣の槍」を持つ少年

 種族の壁を超えた相棒といえば、1990年より『週刊少年サンデー』で連載されていた藤田和日郎氏の『うしおととら』のコンビが外せないだろう。同作は中学生の少年・うしおと「獣の槍」に封印されていた妖怪「とら」が出会ったことで、さまざまな戦いに身を投じる怪奇バトルだ。

 うしおはとらに「退治してやる」と槍を構え、とらはうしおに「喰ってやる」と牙を剥く。そんなギャグパートが随所に挟まれるが、うしおととらはやはり「二人で一体」の名コンビで、うしおの良くも悪くも裏表のない真っ直ぐな性格が凶悪なとらを変えていく。うしおは助けを求める相手なら「人間」「妖怪」の区別なく全力で救おうとする。それが自身を顧みない危険な行為であっても無茶するため、その姿にとらをはじめ周囲の人々が今度はうしおを助けようと動き出すのだ。とらとの旅の中でうしおが残したいくつものやさしさを受けた者たちが、物語の終盤に向け集結するさまは壮観であった。

 最後でとらがうしおに伝えた言葉は、長い戦いを締めるにふさわしい名言。未読の方は是非この感動を味わって欲しいと思う。

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