■「人間とは何か?」を互いに問いながら成長する一人と一匹

 最後は環境問題や社会問題を扱った漫画『寄生獣』のコンビ。ある日、宇宙から飛来した謎の生物が人間の頭に侵入し、脳を奪い「寄生」する。彼らは人間に擬態しながら生活し、いつしか「パラサイト」と呼ばれるようになった。そして、平凡な高校生・泉新一は「脳」ではなく「右手」を乗っ取られたことで、右手に寄生したパラサイト「ミギー」とともに悲惨な戦いを繰り広げていく。

 同作では、パラサイトにより人間がグロテスクな姿へと変貌し、犠牲者の頭や内臓を食べるショッキングな展開が続く。そのため、当初は「パラサイトは残酷な化け物だ」と感じるかもしれないが、読み進めていくうちにミギーからさまざまなことを教わっていることに気付くのだ。

 たとえば、自分に対し「悪魔」と罵るシンイチに、ミギーは本などで調べた結果「いちばんそれに近い生物はやはり人間だと思うぞ」と答えている。なぜなら、ミギーたちパラサイトが食べる生物は1〜2種類であるのに、人間はあらゆる生物を殺して食べていたからだ。

 作中では幾度となく「人間とは何か?」という疑問を投げかけていたが、ミギーは単なる戦闘の相棒だけではない、友人であり先生でもあるような、そんなキャラクターだった。そしてこの問いに対して、最終話でミギーが素晴らしい答えを返しているので、未読の方は是非とも読んで欲しい。

 人外キャラと人間が「相棒」となり活躍する作品はまだまだ沢山ある。『魔人探偵脳噛ネウロ』では非道なネウロと恐ろしい食欲の持ち主である桂木弥子。『シャーマンキング』の麻倉葉と侍の霊である阿弥陀丸。意外なところでは『ドラえもん』ののび太とドラえもんも「相棒」だろう。

 人間同士でも本当に分かり合うのは難しいのに、誰よりも互いを理解し、受け入れ、相手のために全力を尽くす関係。それこそが、読者が求める理想の「相棒」なのかもしれない。

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